INTERVIEW

THE FOREVER YOUNGの生きる道――心優しきパンクスは聴き手の、そして故郷の〈青春〉を守る

THE FOREVER YOUNG『ビューティフルユース』

THE FOREVER YOUNGの生きる道――心優しきパンクスは聴き手の、そして故郷の〈青春〉を守る

福岡は久留米に拠点を置き、いまや全国区の人気を誇るようになったエバヤンことTHE FOREVER YOUNG。とにかく熱いパンク・ロックを、汗だくの魂を、ストレートに叩きつけてくる爆音はおよそスタイリッシュとは言い難いが、かといって、〈かつての青春パンクの再来〉と片付けるには何かが違っている。心に引っかかるのは過剰な熱さより、深みのある声で歌われるメロディーの豊かさ。ニュー・アルバム『ビューティフルユース』を聴いていても、最後の最後を見つめながら永遠を叫ぶような切実さが耳を捉えて仕方がない。現代青春パンクの雄と言われるバンドの正体を探るべく、クニタケヒロキ(ヴォーカル/ベース)にインタヴュー。質問を重ねれば重ねるほど、そのピュアな人間性が顕になっていくのだった。

THE FOREVER YOUNG ビューティフルユース VAP(2019)

君はヤンキーじゃないでしょ?――晴天の霹靂だった一言

――新作の資料には〈青春パンクロックの雄〉と書かれていますが、これって自分たちでも胸を張りたいと思えるキャッチコピーですか?

「いや、まったくそういう気持ちはなくて。〈そう言ってもらえるのは嬉しいな〉ぐらいですね。僕は今年33歳で、中学とか高校ぐらいが青春パンク全盛期だったんですよ。だから、もちろんそういう音楽は僕の血肉になってますけど、でも自分らで掲げてはいないです」

――今日クニタケさんはヴォイドのTシャツで。

※80年代アメリカン・ハードコアの伝説的なバンド
 

「めっちゃ好きなんです。自分がライヴに行ってモッシュするのは基本ハードコアのバンドだったりするし」

――これは偏見かもしれないけど、ハードコア、特にヴォイドみたいなオルタナ系ハードコアを掘り下げていくにつれ、青春パンクから離れたり、むしろ馬鹿にするようになる人って多くないですか?

「ほんとですよね! でもそれって一過性で音楽を聴いているからのような気がする。たとえばこの時期はメロコア聴いたけど、次にハードコアを知ったら〈うわ、メロコアはもうダセェ〉みたいな。あとはフガジからヒップホップとかに入っていって〈マイナー・スレットはもう聴かないでしょ〉みたいな。俺はそういうのが全然ないんです。聴かなくなる時期は当然ありますけど、ハードコアを聴いてたときもSTANCE PUNKSとかGOING STEADYをずっと聴いてたから」

――常に日本語の歌が心にあったと。逆に、本気のハードコア・バンドをやろうとは思ったことはないんですか?

「えっとですね……前身のバンドーー2014年にTHE FOREVER YOUNGに改名する前にやっていたのは〈暴れるのが最高〉って感じのハードコアでした。歌詞も英語。当時は日本の速いバンド、FUCK YOU HEROESとかSCUM BANDITZとか、スラッシュ・ハードコアを掘り下げていたし、そういうバンドになりてぇと思っていました」

――へぇ。意外です。それがなぜこの方向性に?

「それこそ改名する前、これまでリリースしてくれていたSTEP UP RECORDの代表RYOSUKEさん(FUCK YOU HEROESのベース/ヴォーカル)にライヴを観てもらったときに言われたんですよ。それまでの俺はライヴ中に中指立てたり、ツバ吐き狂ったりしてたんですけど、初めて話したときに〈君はヤンキーじゃないでしょ? 道端でヤンキーに喧嘩売らないよね? 自分の性格に合った曲をやってみたら?〉って。好きなバンドの人に言われたからウォッと思いました」

――それって図星でしたか? それとも想像もしていなかった指摘?

「や、想像してなかったです。青天の霹靂みたいな。その前身バンドでは一曲だけ叫びじゃない語りの曲があって、RYOSUKEさんからも〈この曲はいいよ。声がいいんだから自分に合った歌を歌ってみたら?〉と言われた。そこからまず自分と向き合って、日本語の、普通にメロディーがある曲をやりだしたんですよ」

THE FOREVER YOUNGの2014年作『THE FOREVER YOUNG』収録曲“HELLO GOODBYE”

 

何も解決しなくても、ボロボロに泣き合うことはできる

――自分らしいものをやろうとして、こういう熱い歌に辿り着いた理由って何だと思いますか?

「……人に伝えたい、というか最初の気持ちとしては〈俺の気持ち、わかってくれよ〉みたいなものなんです。RYOSUKEさんに言われてから最初に書いた曲も女の子のことで、俺自身どこにぶつけたらいいかわからない気持ちをメロディーに乗せた。で、それを歌ったときにボロボロ涙が出てきて。びっくりしたんです。でも、涙が出ることって本当だと思ったから。〈あ、これ俺だな!〉って、なんかビビッと来たというか」

――それって、〈バンドが楽しい〉とは違う発見ですよね。

「そうですね。心が浄化されるというか……心に嘘がないときにしか涙って出ないと思うんですね。もちろん何も解決しないことを歌ってるんですよ。たとえば元カノの曲とか、厳密に言えばいまはそこまで引きずってないですけど(笑)、当時はズリズリに引きずっていて。でも彼女は結婚して二度と会えなくて。そんな人に向けて歌うって、どうしようもないじゃないですか。でも俺はもどかしい気持ちのままステージに立つし、〈どうかこの気持ちよ、届いてくれ!〉っていう想いもあったから……もうなんかボロボロ泣けてきちゃって」

――ただ、残念ながらその歌は元カノには届かない。要するに、自分のために歌っているという感覚ですか?

「も、ありますし、たとえばそれを歌っているときに客席を見ると、僕がグッとくる部分でボロボロ泣いてる奴が目の前にいたりする。それを見て僕も救われたと思うし、たぶんそいつも何かしら思ってくれるんだなと思う。〈ありがとう、気持ちわかってくれとると?〉って。だから、まず自分のために作るんですけど、人前でやって結果そいつが泣いてくれるなら、それはもうそいつのためになってるんですよね。そうなると〈あいつのためにやるしかねぇな〉っていう気持ちに変換されていくんです。無責任ですけどね。そいつの問題を実際に解決することはできないから。でもそういう空間がお互いにあるのは、いいですよね」

2018年のライヴ映像
 

――いい話ですけど、それを一言〈泣けるライヴ〉とか〈感動〉って言うと、途端に安っぽくなっちゃいますよね。

「そうなんです(笑)。感動……それよりもっと先ですね。思いっきり泣いて、もちろん何も解決しないけど少しでも心が洗われて。〈はぁ、感動して泣けた〉じゃなくて、もっと〈明日もがんばろう〉だったり〈忘れられなくてもいいんだな〉だったり、そういうものを付け足せたらいいなと思いますね」

――そのためには何が必要なんでしょうね。

「……なんですかね? でも、何かを意識したり用意したりっていうよりは、本当にナチュラルでいること、自分がどういう人間であるかを探っていくと年々わかってくるんです。僕はほんと弱くて女々しいし、ポジティヴにはなれないし、昔のことを引きずっているメンヘラなんですけど……」

――自分で言いますか(笑)。

「はい。たとえばライヴ前に街を歩いてて、なんかこの匂い嗅いだことあるなと思って記憶を辿ってみたら、いつかの誰かの香水だったとか。それで〈うわ! きっつぅ!〉って1人で変な気持ちになったり(苦笑)。でも実際そういう日々の繰り返しなので、出来事のひとつひとつがライヴに持っていく気持ちとして培われてる、みたいなイメージですね」

 

聴かず嫌いされるのはイヤだけど、ふとしたときに寄り添えたらいい

――ワルぶってカッコつけてるとできないこと。ただ、かといってカッコ悪さを狙うと別のいやらしさが生まれますよね。〈みっともなく曝け出せば出すほどいいんだぜ〉みたいな作為がエバヤンにはあまり感じられない。

「そうですね。そこは青春パンクだけを聴いてたからじゃないっていうのが大きいかもしれないです。ハードコアをやってたこともそうだし、それこそ中学で青春パンクが流行りだす前はZEPPET STOREとかNORTHERN BRIGHT、TRICERATOPSとかを聴いてたんですよ」

――へぇ。90年代に出てきたギター・バンドたち。

「そう、あの頃のバンドってほんと後世まで残るようなメロディーが多くて。雑な表現をするなら歌謡曲のようなギター・ロック。それが自分の血肉になってると思うし、自分がグッとくるメロディーがいまもそこなので。やっぱりいいメロディーの曲が好きですし」

ZEPPET STOREの99年作『BRIDGE』収録曲“ROSE”
 

――エバヤンは、曝け出してるからいいんじゃなくて、普通にいい歌だからいい。ただそこが少し伝わりづらい部分もあると思うんです。バンド名とかタイトルを並べると、ビシッとカッコよくは決まらないというか。

「ははは。俺もカッコよくはないと思います、もちろん」

――これぐらいが自分たちらしい、みたいな感覚ですか?

「いや、そういうのもなくて……これが自分たちに合ってるとかも考えないんですよね。今回“笑っていようぜ”って曲があって、自分でも〈マジだせぇ〉と思うんですけど(笑)。でもそれは狙ってることでもなくて。タイトルからポンと決まることもそんなにないですし。まずいい曲を作って、そこから〈タイトルはこれでよくね?〉ぐらいの感覚で決めてますね」

2019年作『ビューティフルユース』収録曲“笑っていようぜ”
 

――タイトルのイメージだけで聴かず嫌いになる人もいるかもしれない。

「絶対いますね! 嫌だなぁと思いますよ?」

――自覚はあるのにそのままにしておくんだ(笑)。

「いや、僕は馬鹿なんで戦略立ててどうのこうのはできなくて。〈もっといい歌を歌いてぇな〉くらいしかないんですよね。うーん、なんて言うんですかね? 別に俺らの音楽を一生聴かなくてもいい人はいると思うんです。ただ〈うわ、仕事マジきつい、行きたくねぇ〉とか、なんかヘコんでるときに聴いたらハマることって絶対あると思う。その人のライフスタイルにふっと寄り添える瞬間。だから……聴かず嫌いは嫌ですけど、それも別にヘイトな気分になるものじゃなくて。いつか聴けるときあったら聴いてよ、くらいの感じですね」

2019年作『ビューティフルユース』収録曲“アイラビュベイビー”

 

永遠ってリアルにないんだな

――広い視点で考えてますよね。名前がTHE FOREVER YOUNGでアルバムが『ビューティフルユース』だから、どんだけ若さが好きなんだって感じなのに。

「はははは(爆笑)! はい」

――でもアルバムの始まりは“TO THE END”っていうバラードで。決して若さを盲信していないし、むしろ終わることを知ったうえでこれを歌ってるんだなって。ここでまずイメージが覆ります。

「そうですね。やっぱり続けてれば肩凝りも激しくなるし、マジ死にそうっていうぐらい体がキツい時もあって。だから、いつか終わりは来るなぁと思うんですけど……それがわかってるからこそライヴの一瞬一瞬、作品のひとつひとつ、命賭けるようにやりたいなって」

2019年作『ビューティフルユース』収録曲“TO THE END”
 

――そういうことは普段から考えてますか?

「うーん、考えたくないと前は思ってたんですよね。でも街が変わっていくように、人も、友達も変わっていく。僕はまだ地元に住んでますけど、仕事でどっか違う街に行ったりする友達を見てると〈あぁ、永遠ってリアルにないんだな〉って思う。でもそのなかで俺が永遠を続けていたら、そういう人たちの心の拠り所にはなれるかなって思ったりするんですよね。良くも悪くも〈あぁ、あいつは変わってねぇな〉って。だからTHE FOREVER YOUNGは死ぬまでやるしかないなと思ってます。それは使命とかじゃなくて、僕の生きがいなんで」

――なぜそこまで強く思えるんでしょうか?

「なんでですかね……? もう無理だなぁとは全然思えないんですね、THE FOREVER YOUNGってバンドに対して。別に売れる/売れないは関係なくて、〈これ以上いい曲作れない〉とか〈これ以上のライヴはできない〉とか、まったく思わなくて。心が全然折れないんです。別に俺は強い人間でもないけど〈俺、これしかできんけん、これでいいや〉みたいな感覚が根本にありますね」

――たとえば2016年にギターの2人が脱退したときは相当ピンチだったと思うんですが。

「あれはけっこうヤバかった。しかも1人は小学校からの同級生だったんです。ドラムと彼がオリジナル・メンバーで、〈一生こいつらとやるっちゃろうな〉と思ってたし。ドラムとも〈もうやめるか〉っていう話をしてたんですけど、直前になって〈いや、まだやるっしょ!〉って言い出して。僕も作りたい曲がまだいっぱいあったから〈やるしかねぇ〉って感じで。そこからサポート・メンバーにお願いしてまたやりだしたんです」

――話を聞いていると、全然フォーエバーじゃない歴史ですよね。

「そうなんですよ(笑)。大人になるとよけい痛感します。永遠じゃないし、ずっと若くはいられないなって。でも思想だったりライフスタイル、住んでる場所っていうのは全然変わらない。たぶん一生このままなんです。このまま永遠にバンドを続けるだけ。それは堂々と掲げる何かってわけじゃなくて、これが素の僕たちなんで」

 

リスナーや友達がいる前で、俺が俺がなんて言ってるヒマはないんです

――ちなみに、ずっと地元の久留米にいることはこだわりなんですか?

「地元にいる言葉で話したい、っていうのは思ってます。父ちゃん母ちゃんも近くに住んでますし、地元で支えてくれる人がいっぱいいて。そこで感じた言葉で歌いたくて。俺、MCではたぶん何て言ってるかわからんぐらいの方言なんですけど、でもそれで話して歌うことで何かギュッと強い核を持ちたいなと思ってて。

あと、友達がみんな上京したりして、こっちはずっと地元にいるじゃないですか。だから、友達が帰ってきたときに受け皿になってやれるというか。たとえばこの前のお盆とか〈ちょっと飲み会やってよ〉〈あ、全然やるよ〉って感じで(幹事になった)。みんなで集まって話すこともデトックスですよね。もちろん話すのは愚痴とかじゃなくて、いつもの昔話なんですけどね。出てった奴が戻ってくる受け皿になれる。これはバンドとは関係なく、そういう人間でいたいなっていうのはありますね」

――へぇ……。それってクニタケさんの優しさなんでしょうか?

「どうだろう? さっき話したお盆に返ってきた奴は、中学校の友達なんですよ。僕がパンクを聴き出したきっかけになった友達で、僕はそいつのおかげで人生変わったと思ってる。だから優しさっていうより、あのときいっぱいパンク教えてくれた奴に何か返したいなっていう感覚。もういまは全然パンクも聴いてなかったりしますけど、でも俺がいることで毎年帰ってきてくれるんであれば、俺はずっと久留米にい続けたいなって。そこはわりと強く思ってます」

2019年作『ビューティフルユース』収録曲“心の旅”。同郷・福岡のバンド、チューリップのカヴァー
 

――いまの話もそうだけど、バンド活動においても誰かの役に立てること、あとは誰かと心を通わせる場所をいちばん大事にしてますよね。〈俺が俺が〉っていうアーティスト・エゴがほとんどない。

「一個もないですね(笑)。俺も、これでいいのかなって思うときがたまにあるんですよ。でも……いま言われて気づきますね。そういうことだなぁって」

――人のために何かをしたい、と。

「それこそFOREVER YOUNGを始めたときぐらいから、音楽で人に何かを返せるようになりたかったし、人に感謝がしたいなって。いまだってCD買ってくれる奴がいるからCD出せるし、いいって言ってくれる奴がいるから広まっていくし。そういう奴がライヴ来てくれてモッシュしてるのを見たら、俺が俺がって言ってるヒマはないですよ。〈マジありがとう〉しかない。〈俺が手を繋いだり抱きしめてやればなんとかなるな〉って思うし、極端に言えば〈お前らがいま抱えとるもん、全部消してやる!〉ぐらいのノリになってしまう。そう思ってしまう人間だから、こういうふうになるのかもしれないです」

 


LIVE INFORMATION
THE FOREVER YOUNG “ビューティフルユースツアー2019” TOUR

2019年9月25日(水)仙台 enn2nd 共演:SIX LOUNGE/突然少年
2019年9月26日(木)いわき SONIC 共演:SIX LOUNGE/kobore/VELOCITY
2019年9月28日(土)千葉 LOOK 共演:ATATA/Northern19    
2019年9月29日(日)横浜 B.B.STREET 共演:Northern19/JasonAndrew
2019年10月1日(火)神戸 太陽と虎 共演:bacho/OCEANS
2019年10月11日(金) 札幌 BESSIE HALL 共演:Milestone for 10 years/AK-47
2019年10月16日(水)高松 sound space RIZIN 共演:LABRET/THE SKIPPERS/ONIONRING
2019年10月17日(木)大阪 BRONZE 共演:BUZZ THE BEARS
2019年10月19日(土)名古屋 UPSET 共演:後日発表
2019年10月20日(日)甲府 KAZOOHALL 共演:THE NO EAR/Northern19/OVER ARM THROW
2019年10月22日(火)岐阜 ants 共演:TOYBEATS/SABANNAMAN/コールスロー
2019年10月23日(水)静岡 UMBER 共演:Track’s SABANNAMAN/39degrees
2019年10月25日(金)渋谷 O-WEST ※ワンマンライヴ
2019年11月 8日(土)福岡 Queblick ※ワンマンライヴ

THE FOREVER YOUNG企画 “FOREVER YOUTH SPECIAL 2019”
2019年12月8日(日)久留米大学御井キャンパス みいアリーナ 共演:My Hair Is Bad/SIX LOUNGE and more

THE FOREVER YOUNG『ビューティフルユース』発売記念イヴェント
2019年9月12日(木)19:00 タワーレコード新宿店
2019年9月13日(金)18:00 タワーレコード静岡店
2019年9月14日(土) 12:00 タワーレコード名古屋パルコ店
2019年9月15日(日)18:00 タワーレコード福岡パルコ店
2019年9月18日(水)19:00 タワーレコード梅田NU茶屋町
2019年■9月24日(火)19:00 タワーレコード仙台パルコ店
※クニタケヒロキの弾き語り

★ツアーやライヴの詳細はこちら

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