言ってしまえば“ピアノ全部から音を紡ぎ出す”ソロ・ピアノ。トリオ作品をはじめ、ハープ奏者とのデュオ演奏と、次々に表現領域を拡大してきた上原。10年振りのソロ・ピアノ、ここには今まで雄飛してきた各時代の上原の全てがある。スピード感も凄いが、各曲へのこだわりも凄い。ジャズ・ファンそれぞれの音楽への造詣が作品の存在を輝かせてくれる。①の凄味の効いた疾走感、タイトルを見事に音に凝縮した②、ピアノの表現領域を侵食する③、《Rhapsody in Blue》に《Blue Train》を複合した長尺の⑧はクラシック・ファンの耳をも惹きつけるだろう。次はユジャ・ワンとのピアノデュオを熱望だ!