伊藤ゴローとドラマーの福盛進也がアルバムを制作しているときいて、頭の中でギターとドラムが密やかに会話する音楽が鳴った。アルバムのダークな外観を見て頭の中でいっそう彼らの音は小さく密やかに鳴った。しかし音楽は壮大な響きに満ちていた。佐藤浩一というピアニストの存在が私の想像とは全く異なるベクトルに音を引っ張ったのか。曲ごとに編成を変えて饒舌に雄弁に彼らのイメージを鳴らす。最後にロバート・ワイアットの歌唱がどうしても頭で鳴ってしまうシックの《At Last I Am Free》を三人で演奏しているのだが、彼らが何から解放されたのかとても気になって仕方がないのは何故。