戦後ドイツ映画の巨人ファスビンダーの膨大なフィルモグラフィーの中でもとりわけ難解と評された晩年の傑作。ドイツのテロリズムにおける第三世代(戦後世代)が、本来の理念を失ってテロ行為が自己目的化し、結果として国家や資本家に利用されるのだという寓話は、40年経った現代でも十分有効である。70年代ゴダールを思わせる音の洪水に圧倒されつつ、ビュル・オジェまでもがコスプレをするスラップスティックな襲撃シーン等のコミカルな側面にも注目したい。「映画は一秒間に二十四回の真実だ、とはゴダールの言葉。映画は一秒間に二十五回の嘘だ、とはわたしの言葉」「真実は嘘の中にある」(ファスビンダー)