活況を呈する南ロンドン・シーンの重要人物が待望のデビュー作を発表。なんと彼はキング・クルールが同名義以前に組んでいたユニットにも参加していたという経歴の持ち主。同シーンのコスモ・パイクやイエロー・デイズなどにも通じるレイドバック感、そして古のジャズやソウルのエッセンスを散りばめた温故知新なサウンドを展開しながらも、曲によってはマック・デマルコのようなDIYなソフト・ロック~サイケまで、その懐の深さはまだまだ全貌が掴めない。また、〈エアコン付きのエデン(楽園)〉というタイトルは、どこか消費主義的な社会への皮肉を感じさせつつ、作品全体にうっすらとヴェイパーウェイヴのようなディストピア感も漂っていることに気付せてくれる。