朝比奈隆さんといえば〈ベートーヴェン、ブルックナー、ブラームス〉の印象が強いですが壮年期までは〈浪速のストコフスキー〉と言われるほど多種多様なレパートリーでエネルギーの充満する音楽を展開していました。そうした一面が刻まれたビクター音源をSACDシングルレイヤー2枚でまとめた好企画盤です。最も感動するのはシベリウスの交響曲第2番。ハイテンションのサウンドによる気宇壮大な音絵巻を展開、フィナーレではティンパニの改変まで繰り出します。また鬼太鼓座と共演した石井眞木「モノプリズム」のガツンガツン鳴る熱の入ったサウンドにも圧倒されます。残暑払いにうってつけの一組。