昨年の大反響を受け、オリジナルメンバーでのスペシャル・トリオセットで再来日!

 昨年フジロック・フェスティヴァルに出演するために、バンドとしては17年ぶりという久々の来日を果たし、観客を熱狂させたアイルランドのホットハウス・フラワーズ。今年も彼らが日本に戻ってきて、今回は東京で一夜限りのコンサートを行う。

 バンドの歴史は30年を超える。同じゲール語教育の学校に通っていたリアム・オ・メンリィとフィアクナ・オブレナンが首都ダブリンの街角で歌い始め、やがてピーター・オトゥールが加わり、バンドの核となるトリオが揃う。86年にボノに認められ、U2のレーベルからシングルを発表。88年のデビュー・アルバム『ピープル』が本国アイルランドだけでなく、英国でも大ヒットして、一躍人気バンドとなった。様々な音楽への関心が随所に顔を覗かせるなかでも、特にゴスペル音楽をうまく消化した情熱的なロックは、聴き手の心をいやおうなしにも高揚させるもの。それはケルティック・ソウルと呼んでもいい。ボノはカリスマのあるフロントマン、リアムを「世界最高の白人ソウル歌手」と讃えたことがある。

 ただし、その“ソウル”は黒人音楽からの影響だけでなく、自分たち自身の伝統にも根ざすものだ。ホットハウス・フラワーズの魅力は、ロックとアイルランドの伝統音楽がごく自然に共存するところにもある。90年代半ばにバンド活動を休止した時期以降、リアムはドーナル・ラニーのバンドと来日するなど、伝統音楽のミュージシャンとの交流も増えたし、フィアクナは元ポーグスのメンバーとバンドを結成していたこともある。現在のホットハウス・フラワーズのライヴは激しくロックしたあとに、ウィッスル、バウロン、ブズーキなどに持ち替えた編成で伝統のダンス・チューンを軽快に演奏し、リアムやフィアクナが心に染みる伝統歌を歌うといった場面も見られる。さらに、そういった伝統音楽への関心は自分たちの先達だけに向けられたものではなく、アフリカからアボリジニまでの音楽とのスピリチュアルな共通点を探る視線もあるのが、彼らの音楽をさらに興味深くしている。

 今回の来日公演は、リアム、フィアクナ、ピーターの3人によるライヴとなるが、リズム・セクションがいなくとも、そのパフォーマンスのダイナミックさは遜色ないと保証しよう。自由奔放な自然児リアムは一挙一動のすべてがそのまま音楽となるような人で、何が飛び出すかわからない面白さがある。そんな彼をフィアクナとピーターがしっかりと支え、音楽の魔法のもたらす幸福感を会場いっぱいに振りまいてくれるはずだ。

 


LIVE INFORMATION
ホットハウス・フラワーズ スペシャル・トリオセット
○10/11(金) 19:00開場/20:00開演
【会場】渋谷CLUB QUATTRO
【出演】Liam O Maonlai(vo, keys, whistle)/Fiachna O Braonain(g)/Peter O’Toole(b, bouzouki)
smash-jpn.com/live/?id=3155