着実なキャリアを築くシンガー・ソングライターが送り出す3枚目のフル・アルバム。旧知のgrooveman Spotらが参加した楽曲で盤石のメロウネスを聴かせる一方、starRoが担った90sテクノ~レイヴ調のトラックでこれまでにないアプローチを見せる。初参加となるプロデューサー陣との手合わせも聴きどころで、神戸の若きデュオ=Opus Innを起用したナンバーでは涼しげなインディーR&Bを披露。ローファイ・ヒップホップの文脈で再浮上するケロ・ワンを招聘し、オーセンティックなスロウを作り上げているのもおもしろい。そうしたトライアルで新たな成果を挙げながら、壮大なピアノ・バラード“道”のような王道のポップス然とした楽曲も混ぜ込むスタイルの振り幅がまたこの才人ならでは。