懐かしい感覚なのに決して古くない。出会ったことのないはずなのに郷愁の香りがする。70年代の女性シンガーソングライターたちの影が確かに感じられる空気がここにある。例えばジョニ・ミッチェルだったり、大貫妙子だったり。日々の何気ない呼吸や感情や行為をスケッチした歌詞はナイーブでいて大胆な表現。「犬の鼻乾いていく間 あなたの匂い立つ眉間にキスを」こんな言語感覚に出会える私たちはとても幸せだ。タイトルもジャケットも最高の一枚なのだが収録曲は五曲。足りない。全然足りない。もっと彼女の世界を味わいたくなる。アジカンの後藤正文が注目しているというのも納得の作品。