ザラ・マクファーレン作品や、モーゼス・ボイドとのユニット、ビンカー&モーゼスでの活動もあり、南ロンドンのシーンをチェックしていれば既に注目しているであろうサックス奏者のリーダー作もギアボックスより御目見得。シーンを共に彩るジョー=アーモン・ジョーンズやダニエル・カシミールと奏でるのはビンカー&モーゼスでのコルトレーンへの憧憬的スピリチュアリティや実験性とは打って変わって、洗練されたコンテンポラリー、それは彼の10~20代を過ごした日々を思い返すこと。激動とも言えるシーンの中で未来を見据えつつもアイデンティティを確認するような真摯な眼差しが伝わる演奏だ。