《ベートーヴェンの主題による幻想曲》を含む、チェルニーのピアノ独奏曲集。おそらくこれからも継続されるシリーズの第1巻で、全曲が初録音。作品番号がついたものだけでも861を数えるツェルニーは、演奏効果や娯楽性の高いものから芸術性の高いものまで、広範なジャンルに多種多様な作品を残している。当盤にもバラエティ豊かな楽曲がならんでいるが、やはり白眉はアルバムの最後に置かれた《ベートーヴェン幻想曲》だろう。ツェルニーが偉大な師を意識しながら書いたに違いない、充実度の高い作品である。演奏効果の高いものとしては《ロッシーニの主題による感傷的な即興曲》がオススメ。