INTERVIEW

kukatachii『SYN-』 アーバンなダンス・ポップ・バンドが独創性を詰め込んだ待望の新作を語る!

kukatachii『SYN-』 アーバンなダンス・ポップ・バンドが独創性を詰め込んだ待望の新作を語る!

独創的なセンスとアンサンブルによってキャッチーでモダンなダンス・ポップを生み出してきた気鋭の4人組がついにフル・アルバムを完成。朝が来るまで踊れ!

キャッチーじゃなきゃいけない

 もしかしたらTVCMなどですでに彼らの曲を聴いている人もいるかもしれない。2013年5月に結成されたkukatachii(クカタチ)は、ライヴでブルーノ・マーズやシェリル・リンなどの曲を織り交ぜたりもするダンス・ポップ・バンド。メンバーは、リリックやメロディーを書いてハイトーンの声で歌うヴォーカルのYudai、ベースのKAJ、ドラムスのTakt、そして紅一点となるキーボードのYuiの4人。当初ロック・バンドをやっていたYudaiがYuiとユニットを組み、以前からYudaiのバンドをサポートしていたKAJ、ライヴハウスで出会ったTaktを加えてスタート。当初はギタリストも含む5人組だったが、現在はこの4人で東京を拠点に活動している。

 まず気になるのはkukatachiiというバンド名。日本史好きなリーダーのYudaiが神明裁判の盟神探湯(くかたち:身の潔白を示すための神判)から名付けたというのだが……。

 「他のバンド名と被りたくなくて、聞き慣れない単語を探して、その日本語をアルファベットにしようと。最後にもうひとつiを加えました。音楽性とは全然関係ないです(笑)。ジェンダーレスなことをテーマに書いた“Say Oh”では紀貫之『土佐日記』からの一節をもじったりしてますけどね」(Yudai)。

 バンドは、「親の影響でディスコを聴きはじめてファルセット・ヴォーカルが好きになり、ギター・ロック・バンドをやっていたこともあってマルーン5みたいに万人に愛されるような音楽をやりたかった」というYudaiの趣味が大きく反映されているが、メンバー個々の音楽趣味はバラバラなのがおもしろい。

 「僕の趣味はYudaiと近いですが、高校まではハード・ロック、特にMR.BIGが好きで、ベースのビリー・シーンに憧れていました。その後、大学に入ってソウル、ファンク、R&Bをやるサークルに入って、ディアンジェロとかネオ・ソウル系のコピー・バンドをやっていました」(KAJ)。

 「私はクラシックをやっていたので、吹奏楽やオーケストラの曲を書いたりしていて。あとJ-Popが好きで、大学時代にちょっとジャズを。ビッグバンドが好きだったので、お洒落な音楽をやりたいな、くらいの気持ちでしたね(笑)」(Yui)。

 「僕はファンクやソウルを通ってきてなくて、Hi-STANDARD、SNAIL RAMP、B-DASHとかのメロコア。それからスリップノットに衝撃を受けてメタルを聴きはじめました」(Takt)。

 Taktの趣味はバンドの音楽性からすると意外に思えるが、「ドラムを叩くこと自体が楽しいので抵抗はなかったですね」と本人が言えば、Yudaiは「Taktは他にはない発想を出してくれて、そういう器用さが気に入っている」と。「〈キャッチーじゃなきゃいけない〉という共通認識がメンバーにあって、ポップで踊れるものを作っている」(Yudai)という音楽性は初期から一貫していて、そうしてシングルやミニ・アルバムなどで出してきた曲を新たなリミックスも含めて網羅し、新曲を加えたのが、ベスト盤的な側面も備えた今回の初フル・アルバム『SYN-』となる。

 

テンションを上げてほしい

 Yudaiいわく「バラバラのものを一緒にまとめたという意味でタイトルを『SYN-』にした」というアルバムは、「クラシックの要素を入れつつ、〈SYN-〉という言葉の意味を上手く音で表現できた」というYuiによるピアノの序曲で始まり、“Love Today”へ。外資系アパレルのTVCMにも起用されたこのシングル曲は、「この曲でいろんな人との関わりが増えていった」(KAJ)という代表曲のひとつだ。

 「歌のサビメロがない初チャレンジの曲でしたね。サビにあたる部分でキャッチーな歌メロがくるという発想をいったん捨てて、かつ誰が聴いても良いと思える曲を作るのは、自分たちの経験不足もあって苦労しました。Taktのドラムも、Aメロでけっこうへんちくりんなフレーズを叩いているのですが、でも聴いていて不快ではなくノリを崩さない方向で」(Yudai)。

 「ちょっとズラしてキックを入れていたり、全編4つ打ちではないんですよね。ライヴではサンプリング・パッドを同時に打ちながら演奏するので、やっていても楽しい曲です」(Takt)。

 Yudaiが書くリリックと歌は、聴いていると日本語と英語の区別がつかなくなるのもユニークだ。

 「日本語でハッキリ言うことを意識しすぎるとノリづらいっていうのもあって、それならノリ重視で韻を踏んで英語に近づけて書こうと。それでいちばん伝えたいフレーズのところに日本語らしい日本語を持ってくる。儚いものに対して美しさとか良さを常々感じていて、特に“Life”は人生や命といった重いテーマですけど、難しい言葉を使わず、ノリも崩さず言いたいことが言えました。〈ずっと昔に恋した人はママになってもっと素敵だ〉っていう歌詞が浮かんだ時は、できた!と」(Yudai)。

 昨年シングル発表された“Passerby”などは“Say Oh”同様ジェンダーレスなテーマの曲で、歌詞はYudaiの実体験に想像を織り交ぜて書くことが多いという。そんな曲を含むアルバムには、Funkcutsのトークボックスが曲にうねりを与える“Come Back To Me”、Yuiの分厚いシンセが響く“Hungry Tonight”といった既発曲にプラスして、先行配信シングルの“Beach”をはじめ、“Dance Till The Morning”“Ain't I Cool”“Take It Off”という4つの新曲も加えられた。

 「思い入れがあるのは、自分で曲を作ってミックスまでやった“Ain't I Cool”ですね。ジャミロクワイの『Dynamite』(2005年)が好きで、その時からベースを弾いてるポール・ターナーの、動いていてもベースのフレーズに耳が行ってしまうキャッチーさに影響されています。曲はハウスとかエレクトロっぽくて、消防団(め組)のことを歌っているところでは歌詞に合わせて切迫した雰囲気を出すため、シンセで消防車っぽい感じを出してみたりもしました」(KAJ)。

 「僕は“Take It Off”ですね。メロディーレスなリズムだけで始まって、どんどんメロディーがキャッチーになっていくという、いままでにない感じで作ったんですけど、新曲の中では上手く歌えたこともありまして。トロピカル・ハウスっぽい“Beach”では共同プロデュースのThe Cerebronさんにトラックメイキングをお願いして、僕の作った曲を良い感じに解釈していただきました。その場だけの儚い大人の恋愛の歌で、そういう意味では、〈楽しい時間には終わりがある〉という(Ryo Takahashiとの)“Die In The Summer”にも近いですね」(Yudai)。

 後半にはmiu-clipsがリミックスした“Inside”など既発曲のリミックスが並んでおり、藤井響子×平間亮之介のtangerine.がリミックスした“Business Of You”とTakuto Tanakaがリミックスした“Shake My Body”では、英アシッド・ジャズ界の名手ウィンストン・ロリンズのホーンをフィーチャー。これらを含むアルバムの楽しみ方についてメンバー全員の意見を総括すると「聴きながらテンションを上げてほしい」とのことだが、実は年明け早々、これに続くアルバムも発表予定だそう。既発曲のリミックスと新曲で構成されるというそちらの表題は、今回の『SYN-』を受けて『Chronization』となる。「『SYN-』の続きだけど『SYN-』にないこともできたら」(Yudai)という、kukatachiiの新生面にも期待したい。

kukatachiiのミニ・アルバムを紹介。

 

『SYN-』に参加したア−ティストの作品を一部紹介。

40周年 プレイリスト
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