シカゴを拠点とするシンガー・ソングライターの通算4作目。高い評価を獲得した前作『My Woman』(2016年)でもシンセ・ポップやささくれ立ったオルタナ~グランジ色強めのサウンドの導入で話題を集めたが、今作では12名のオーケストラも迎え、よりいっそうドラスティックな変化を遂げている。プロデュースはセイント・ヴィンセントやスワンズなどを手がける名匠、ジョン・コングルトンが担当。エレクトロニクスも前作以上に採り入れて広大なサウンドスケープを描き出し、いわゆるチェンバー・ポップとは大きく趣を異にする歪さを湛えた怪作に。時に柔和に、時には情感たっぷりの歌い回しを披露する、その豊かな情感に裏打ちされた表現力は、どこかケイト・ブッシュとリンクするような気も。