巨匠ジャン=リュック・ゴダールの最新作は、(ほぼ)映像テキスト音楽等の引用とゴダール自身の語りのみで構成という、過去作で言うと「映画史」に近い作品である。なるほど前作の3D映画ほどの企画としてのインパクトこそないが、引用された映画によって映像の途中でアスペクト比が変わる、更には粒子が荒すぎて何が映っているか分からない、以前と異なり音が映像と分離した印象を与える、終いにはゴダールの語りが妙に真っ直ぐすぎる、などなどこの期に及んで新機軸満載! カンヌ映画祭において、本作の為に〈スペシャル・パルムドール〉なるグランプリの上の賞を新設せざるを得なかった審査員の気持ちがよーく分かる一作だ。