一見ぐちゃぐちゃなピカソの絵がなぜすごいのか、解説を読まないとわからないように(もしくは読んでもわからないように)、まるで音楽理論を無視したようなuamiの楽曲がすごいものなのかどうかも、凡人の自分には判断できない。けれど、やはりどこか何か、すごさを感じる。

uamiは、トラックメイク、録音、そしてライヴに至るまで、使用機材はiPhoneのみという福岡在住のシンガー・ソングライター/トラックメイカー。作曲を始めて1~2年で生まれた大量の楽曲をSoundCloudに発表し、それらをコンパイルしたアルバム『Composition baby exercise book(long)』『Composition baby exercise book(five)』が配信とCD-Rで本日リリースされた(ちなみに〈Composition baby exercise〉は〈作曲赤ちゃん練習帳〉の意らしい)。それと同時に配信限定でリリースされるのが、新曲4曲を収録した本EPだ。本作が、音楽理論を知らない〈作曲赤ちゃん〉によってデタラメに/即興的に作られたものなのか、それとも理論を学んだ上で作られた楽曲を派手にぶっ壊したものなのか、判断に困るような4曲だが、かつてはJ-Popのカヴァーを発表していたり、資料で本人が〈流れの無視の仕方を残した〉と語っていたりするので、恐らくは後者なのだろう。だとすれば、曲ごとにまったく異なる声色も含め、衝撃的な才能の登場だと思う。自分も早くピカソの絵を解説できるようになりたいし、このEPを聴いた人がどんな感想を持つのか、世界が試されている感すらある。