イントキブログ

常盤司郎 × 倉本美津留、映画「最初の晩餐」intoxicate試写会で行われたトーク・ショーをレポート

倉本美津留(放送作家)、常盤司郎(「最初の晩餐」監督)
 

映画「最初の晩餐」はアダージョ※1で書かれた物語――淡々と、しかし同時に切々とした登場人物それぞれの思いが映像を通して観る者に刻まれていく。笑い声やそっと涙を拭う仕草やその音が終演まで試写会の来場者の間から絶えることはなかった。印象的だったのはそのタイミングはまちまちで一つの感情だけに会場全体が飲み込まれるということがなかったことだ。

映画はふたつの家族がひとつになろうとする過程を辿る。冒頭、観客は父親の葬式を起点にカノン※2のように登場人物の間に現れる様々な葛藤、感情の渦に絡まれていく。そしてその絡まりを解きほぐしていくのが葬式の後振舞われた食事である。生前、登山家である父が遭難した時に希望の光を灯すようにして綴った家族との思い出の食事、そのひとつひとつを書き留めたレシピを忠実に再現した料理の数々だった。あらたな皿がテーブルに出されるたびに、観客はこの家族のこと、登場人物への思いを深くしていく。

この映画はまるで、コーダ※3のように始まり、終わる。

終演後のトークショウで監督は「実父の葬式を見ていたときに想ったことを脚本に落としてみた」と、この映画の着想について語った。「最初自主映画ではじめたのですが、会ったこともない染谷(将太)さんに脚本を送ったところすごく乗ってくれたんです。その時は本当になんの資金的バックアップもない時期でした。始動時は自主だったこともあって結局七年もかかりました」。染谷に始まり、永瀬正敏、斉藤由貴、戸田恵梨香、窪塚洋介と、そうそうたる俳優が送られてきた脚本に魅せられ集まったという。「本当にみんなが脚本を読んで集まってくれました。純粋になんの力も働かない、野放しの状態で集まってくれた」。そして昨年(2018年)冬にクランクインにこぎつけた。

「細やかに書き込まれたストーリーはいろんな人にいろんな印象をもたらす」とトークショウの対談相手であるマルチに活躍する放送作家、倉本美津留はこの映画の魅力を語る。そして「すべて描き切ってない感じがリアルな感じになっていて、思い出しながら楽しめる映画にもなっている」という。監督は倉本のそんな印象を受けて「僕自身も家族ってなんなんだろうって映画をつくりながら思っていました。僕の中で映画ってエンドロールを見ながら何を感じるかというのが大切な気がしていて、会場を出て家に帰るまで何を考えてもらえるか、そこまでを含めて映画を作ることだと考えています。終わってあらためて考えてもらえるような映画作りをめざしています」と、監督としての基本的な姿勢について語る。すると倉本は「何かを見たらこの映画を思い出すというようなことは出来ていると思う。とりあえず出てきたご飯は全部食べてみたと思いましたからね(笑)」、と付け加えた。

次作品については、まだ白紙。「はじめての子供なので、まずはこの映画の行く末を見ていたい」と監督はトークを締めくくった。

※1 緩やかなテンポ
※2 輪唱、複数の声部が同じ旋律を異なる時点からそれぞれ開始して演奏する様式
※3 楽曲、楽章の最後に主題をめぐる追想として現れる部分

(取材協力、試写会場:映画美学校)

 

★intoxicate presents「最初の晩餐」特別試写会で配布されたバス・ソルトはこちら!
アマイワナ ミニバスソルト ビタミンフルーツジュース
提供:株式会社グローバル プロダクト プランニング

 


映画「最初の晩餐」
監督・脚本・編集:常盤司郎
音楽:山下宏明
出演:染谷将太、戸田恵梨香、窪塚洋介、斉藤由貴、永瀬正敏
配給:KADOKAWA(2019年/日本/127分)
©2019 『最初の晩餐』製作委員会
◎11月1日(金)全国ロードショー
http://saishonobansan.com/

【プロフィール】
intoxicate編集部

intoxicate編集部

タワーレコードのフリーマガジン、intoxicateのブログです。〈お茶の間カルチャーショック〉を謳ってはや10数年! タワーレコード発のポップ&シリアスな視点で音、映像、言葉が紡ぎだすアートを紹介します。 "Culture Shock in the living room" is our editorial attitude. The Intoxicate Magazine explores tangible and intangible universe of ART, in its audible, visible, written form with POP, and serious manners.

タグ
40周年 プレイリスト
pagetop