昭和レコード
令和を賑わす昭和……SHINGO★西成の新作とDJ FUMIRATCHの初作が同時リリース!

 それまでもコンスタントに作品を投下してきた般若主宰の昭和レコードだが、今年に入ってから勢いを増している雰囲気もある。5月にDJ FUKUの初作『スタメン』とZORNの『LOVE』が同発されたのに続き、この10月にもアルバム2タイトルが同時リリースとなった。

SHINGO★西成 白目 昭和レコード(2019)

 まずは、フル・アルバムとしては『ここから…いまから』から2年半ぶりとなるSHINGO★西成の新作『白目』。ブレない姿勢はそのままに今回も濃い人間味と喜怒哀楽の詰まった内容になっていて、飾らない言葉の力もいよいよシンプルに突き詰められている。盟友DJ FUKUが“ラッパーの背中をながめて”のトラックを手掛けているほか、XLIIによる“かかってこんかい”、774や下拓といったレゲエ方面とのブーミンな手合わせもいつもながらの好相性だ。また、ワンマイクの曲が続くなかにあって、TERRY THE AKI-06とJAGGLAが声を交えた“1Dで入れるって”も実に印象的に響く。

 

DJ FUMIRATCH Exterminator 昭和レコード(2019)

 もう一枚は、般若の片腕としてライヴDJを務めてきたDJ FUMIRATCHのファースト・アルバム『Exterminator』。これまで『般若万歳』シリーズのDJミックスを担当したほか、エンジニアやトラックメイカーとしても多数の作品に関わってきた彼らしく、NORIKIYOとSNEEEZEを迎えたオープニングの“アミーゴ”から豪華な客演陣と多彩な組み合わせが楽しめるリーダー作になっている。全曲のビートはもちろんFUMIRATCH本人が手掛け、¥ellow Bucksと組む般若、BRON-Kとマイクを交わすZORN、SONOMIと手合わせしたSHINGO★西成と、昭和のラッパーたちもそれぞれに客演。BES×紅桜の“刻一刻”、RENE MARS×OZworldの“Energy Mode”などもここでしか聴けないコラボだし、604のHANGを迎えた“WE”でシメるまで、濃厚なラップを備えた熱いトラックが並ぶ。充実の2タイトルを聴く限り、昭和は令和もマイペースに突き進んでいくことだろう。