NYで現地のミュージシャンと断続的にレコーディングされようやくリリースとなった中井千恵美の10年ぶりの新作である。参加しているミュージシャンはマイク・ロドリゲス(tp)の兄弟、リューベン以外は未知である、というかこんな日本人ピアニストがいたのかと痛恨の思いである。ラテン・ジャズというマイナーなジャンルを楽しむファンには朗報だ。オリジナルを中心に、スタンダード二曲で構成されたアルバム。しかし音楽の装いはラテンに特化したというよりラテンを呑み込んだジャズといった様子である。随所にラテンのエッセンスをのぞかせながら小気味好いピアノのリズムが楽しめる。