ネット音楽って言っても、どうやって聴くの?――なんてネット音楽ディガーに笑われてしまうかもしれませんが、笑わないで! 基本のキから学んでいる最中のわれわれMikikiネット音楽部、今回はその〈聴くツール〉についてお話してみましたよ!


 

加藤直子「ということで第2回です。今回は〈実際に聴いてみよう!〉ということで。もうMikikiの記事では使いまくっているSoundCloudBandcampという2つのプラットフォームが、現在のネット音楽を聴くうえでのツールの主流と言えそうです。SoundCloudにMikikiのアカウントがありますが、編集スタッフも個人でアカウントを持っています……」

 

SoundCloudとは……
音楽共有サーヴィス。SoundCloudのサーヴァーにアップロードされた音源を、PC/スマホなどで聴くことができるものです。 

 

 

加藤「SoundCloudにはTwitterのようなフォローという機能があって、自分で作った音源を公開している人のアカウントを主にフォローしてその動静を見守ることができるわけですが、最初はとりあえず好きなレーベルとかアーティストをフォローするところから始めるのがいいでしょうか」

船越太郎「そうですね、僕も最初はそこから始めたんですけど、だんだん全然知らない人もフォローするようになって、いまは170くらいフォローしてます」

加藤「結構な数をフォローしてますね」

船越「追いきれなくなりそうで……これでも絞ってるつもりだったりします」

 

 

 

加藤「ちょっとだけですが、全然知らない人もフォローしてみたものの、そういう人に限って全然音源をあげてくれない(笑)。まあそこで、〈これイイな!〉と思った音源の〈リポスト〉というボタンをクリックすると、その音源が自分の……Twitterで言うところのタイムライン上に反映されて、他の人も見れるようになるわけです」

 

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リポストした音源がこのように並びます

 

船越「つまり〈リポスト〉はTwitterで言うところのリツイート機能ですね」

加藤「それをさまざまな人が繰り返すことによって、音源がどんどん広がっていく……という。つまり仕組みはTwitterとほぼ同じですね。Facebookの〈いいね!〉にあたる〈ライク〉というボタンもあったり」

船越「そうですね。僕の場合、使い方が最初の頃といまとで違ってきているような感じがします。最初はあまりネット音楽にこだわらず、自分が好きなレーベルやアーティストのフォローから始めたんですけど、やっていくうちにSoundCloudの中にしかいない人(アーティスト)たちがたくさん出てくる。そういった人たちをフォローして、またその人たちがリポストしたものとか、フォローしている人たちをチェックして……っていうのをどんどん拡げていくとキリがない(笑)」

加藤「出ましたね、キリがないシリーズ! 途方に暮れるパターン!」

船越「いまやっとその段階にきてますね。そうだ、ヴェイパーウェイヴを調べなきゃってなった時に、ほとんどがネット上にしかいない人たちなので、ヴェイパーウェイヴに限らずネット音楽の紹介にかけては国内では先駆的な存在の音楽ブログ、Hi-Hi-Whoopeeあたりを参考にさせてもらって、そこに出てくるアーティストを片っ端からSoundCloudでフォローするようにしたんです。そのあたりから訳がわかんないとこに入っていくようになって……」

加藤「この間、Maltineのオーナーのtomadさんが〈SoundCloudのディグリ方〉というのをまとめてらっしゃって、すごく参考になったんですが……確実に途方に暮れるやつです。でも……がんばりますよ、私は!」

船越「この間紹介した“乾杯ハウス”もそうですけど、全然一般じゃ知られてないけどおもしろいのがいっぱいあるんですよね」

【参考音源】Kinue Itagaki Yoshino“乾杯ハウス”

 

加藤「こんな連載企画を立ち上げてしまった以上は、ディギンするぞ!」

 

Bandcampとは……
音楽配信販売のプラットフォーム。楽曲/作品のダウンロードのみならず、CDやカセットテープなど音楽にまつわるアレコレがここを通じて販売されています。価格も売り手が自由に設定可能! こちらもPC/スマホなどで試聴できます。

 

加藤「で、Bandcampのほうですが、こちらはSoundCloudほどカジュアルにボンボン音源をアップして……という感じではなく、作品単位でダウンロード販売(無料/投げ銭制のものも多い)するためのサイトですね。ネット・レーベルはここに本拠を置いていることが多いでしょうか」

船越「ダウンロード販売だけじゃなくて、Bandcampを介してカセットテープなどフィジカルの音源を販売しているケースもありますよね」

 

Bandcampの作品ページ

 

加藤「一応ここでも個人のアカウントを取得していまして、とりあえず気になっているネット・レーベルやアーティストを、まだちょっとですがフォローしています」

船越「Bandcampはそもそも作り手専用というか、リスナーがアカウントを持って……という形じゃなかったんですよね。〈Bandcamp for Fans〉というリスナー用のアカウントが持てるようになったのはここ1年半とかそのくらい」

加藤「そうなんですか! この作品をどういう人が買ってるか、というのもわかるし、おもしろい機能ですよ。あと、Bandcampは基本的にすべて試聴することができるので、買う前に吟味できるのもありがたいです――ところで、Bandcampではみんなどうやってディグってるんですかね?」

船越「どうなんですかね。たぶん各作品に付けられている種類別キーワードである〈タグ〉でソートして、シーンとか音を細かく検索できるから、それを使ってるのかな? 地域とかでもソートできるんですよね」

 

 

加藤「ほほー、なるほどー。タグって大事なんですね」

船越「かなり大事だと思います」

加藤「そういえばこの間Mikikiでも紹介しましたが、world’s end girlfriendの主宰するVirgin BabylonがBandcampを使った新しい企画をスタートさせていて、それが興味深いです」

船越「〈Virgin Babylon Selected Works〉という企画ですね」

加藤「レーベルから作品をリリースするんじゃなくて、レーベルが〈これは!〉と思ったアーティストの作品を独自に紹介&配信するスタイル。自分で良いアーティストなり作品をディグるのも楽しいけど、好きなレーベルがピックアップしている……という視点から新しい音楽を知ることができるのは嬉しいですよね。何より信頼性があります」

【参考音源】〈Virgin Babylon Selected Works〉で配信されているメトロノリ『ディナー・Till・☾ ◯』

 

船越「こういうスタイルならレーベルもそこまでリスクを負わなくていいから、敷居は低いですよね。気になったアーティストをよりカジュアルにサポートできるというか」

加藤「そうですよね。名のあるレーベルがフックアップすることに意味があると思うし」

船越「ネットを使ったこういう動きがもっと広まっていくと、またおもしろくなりそうですよね」

加藤「ねー! 〈このレーベルにやってもらいたいわ~〉という日本のレーベル、いっぱいあります!」

船越「ということで、今回はこれまで。わからないわからないと、ここで言っていても前に進まないので、次回以降はネット音楽の世界について詳しい方にいろいろ訊いていこうと思います。あんなアーティスト、こんなアーティストも登場するかも!」

加藤「お楽しみに~!」

※【Random Access ONLINE】第1回はこちら