ギターとオルガンを巧みかつ人間臭く操るコンテンポラリー・ブルースの雄による移籍作。5歳でデビューを果たした神童も今年で50歳を迎えるわけだが、ここにきて〈ブルースマンの息子〉と銘打って発表した今回の新作は、ウィルソン・ピケット“Funky Broadway”のヒップでタイトなファンク解釈から最後のゴスペルまで、彼らしい多面性を見せながらブルースマンとしての原点に立ち返ったような内容だ。ボビー・ブランド“I Pity The Fool”のカヴァーなどでのレイドバックした歌唱から滲み出る渋味よ! 一方でリトル・リチャードばりに絶叫するブギウギや、ジョニー・ナッシュ“I Can See Clearly Now”のカヴァーで聴かせる骨太で豪快な歌の迫力も凄い。ブルースの楽しさを教えてくれる快作だ。