LAと日本を行き来しながら着実にキャリアを積んできた彼女のこれまで

地元のコーヒーハウスで歌っていたアマチュア時代の自作曲に、ウィリー・ネルソンのカヴァーなどを合わせたファースト・アルバム。インディーで出したEPに続き、ジョーイ・ワロンカーがプロデュースを担当している。弾き語り主体だが、優雅にして控えめなストリングスが効果的。

 

レイ・ラモンターニュ作品を愛聴していたことからイーサン・ジョーンズにプロデュースを依頼。単身でロンドンに渡って録音したプリシラの出世作だ。イナラ・ジョージ、シーア、エレニ・マンデルら友人のシンガー・ソングライターが参加して楽曲の幅は広がり、深みも増した。

 

日本制作のカヴァー集。来日公演で披露された日本語曲が好評だったため、“サヨナラCOLOR”や“風の谷のナウシカ”などはそのまま歌詞を変えずにチャレンジしている。男性シンガー曲も柔らかな歌声によって新たな意味性が加味された。初のフランス語ナンバー〈哀しみのアダージョ〉もグッド!

 

“I’ll Be Here”がTVドラマの主題歌に決まったことから編まれたこのベスト・アルバムには、震災時に日本を思って書いたという“希望の歌”の英語ヴァージョンも初収録。同曲におけるラップスティール・ギターの音色とプリシラの歌声の混ざり具合が絶妙で、癒される。

 

今年になってUSでもリリースされた3枚目のオリジナル作。リトル・ドラゴンやリッキ・リーの影響からエレクトロニックなサウンドを大胆に取り込んだのが新味だ。それによってAメロ→Bメロ→サビといった定型的な曲構成から自由に解放。キーファス・シアンシアがプロデュースを担当している。

 

“Best I Can”がまたまた日本のTVドラマで主題歌に選ばれ、それに合わせてこのたび登場したばかりのベスト盤だ。オリジナルの英詞曲と日本語カヴァー曲が違和感なく混ざり合い、その両方を大切にしながらキャリアを重ねてきた彼女独自のあり方が明解に伝わってくる。