HOTTER THAN HOT
【特集:日本の夏、ダンスホールの夏 2014】

GACHAやスティーヴン・マクレガーを裏方に迎え、ギャル・チューンも現場讃歌も詰め込んでDJとしての生き様を描いてみせた新作です。なかでも、自身の代表曲を矢継ぎ早に繋いでいく〈Come Down〉リディム使いのナンバーや、アーリー2000s風のオケもナイスなウェイン・マーシャル参加曲に鬼ライター! *山西

 

PETER MAN JAM DOWN BUSH HUNTER/SPACE SHOWER(2014)

シャギー主宰のビッグ・ヤード産のリディムを使い、同スタジオで制作した4作目。前へならえの体制/大勢に矢を放つ“MINORITY”、振り込め詐欺から戦争、原発までを射程に現代を斬る“SCAMMER BUSINESS”と、コンシャスな視点に言葉は鋭さを増す。曲によってオールド・マナーに近付く節回しも魅力。 *一ノ木

 

KEN-U、CHEHON、J-REXXXをはじめ、次世代に及ぶジャパレゲ勢ら14組が5リディムに乗るコンピ。時流や型にはまってよしとせぬトラック術が、軽妙かつ朗らかに全体を貫き、ホームリスニングにも時を選ばなさそうな内容に。CHOP STICK & ハイジの“ひょっとしてロマンティック”も音を含め絶妙。 *一ノ木

 

常にジャマイカの流行を咀嚼してきたMJRらしく、レイヴィーなダブステップに接近するなど、この14作目でも攻めの姿勢をまったく崩さない点が頼もしいですね。GACHAPANや774ら馴染みのヒットメイカーに加え、メキメキと頭角を現しているマーカス・マイリー(ブジュの息子!)を起用している点にも注目! *山西

 

全曲ジャマイカンをプロデュースした楽曲から成る最新コンピは、バッドマン・チューンや、ハッピーな現場ソング、ゲットーにラスタなメッセージを届ける曲など、硬軟取り混ぜトップ・アーティストのマイクが楽しめる一品。ハードな側面に隠れがちなラヴソングとして、エターナが歌う“Time”が◎。 *一ノ木

 

TRIGA FINGA OYA GUNSMITH PRODUCTION(2014)

HIBIKILLAとのクラッシュやミックスCDから待つこと数年、ジャマイカ撮影のDVDも付いた初作が登場! 暴力的にすら感じるハードコアな言葉のチョイスが最高で、“SEX ガンジャ”“Weed&Henny”とタイトルそのままに煙たい楽曲もズラリ。レゲエがゲットー音楽だと思い出させる強烈にスリリングな一枚。 *西尾

 

Dizzle JUICE Cabron Music/STARLIGHT PRODUCTIONS(2014)

NYから話題を振りまき、帰国早々にみずからのポジションを確立。レゲエもヒップホップも飲み込みストリートで活動し続けるDJだ。この2作目は、NY時代にリンクしたプロデューサー陣がトラックを提供。90s感漂うビートに独特のフロウを乗せ、自分の中の〈レゲエ〉にこだわったという作品だ。 *馬渕

 

BES Emotion ユニバーサル(2014)

掲げたタイトルが、終盤に向かう“Tears”からのラヴソング三連発でしっとりと深まる5作目。オケの転調がKIRAとのデュエットを滑らかに後押しする“夢の終わり”をはじめ、復活を果たした三木道三改めDOZAN11との“誇り”も話題性十分。彼の色褪せぬ歌心が、BESと声を合わせるサビに溢れ出る。 *一ノ木

【参考動画】BESの2013年作『GROW』収録曲“It's Your Love”

 

卍LINE KEY MAKER Amato Recordz(2014)

新たな世界を開く〈鍵〉と〈扉〉の2枚のCDで構成された5作目(限定盤は8本のPVなどを収録したDVD付き)。俳優の窪塚洋介とレゲエDJの卍LINEの活動を高次元で融合させ、築き上げた独自のスタンスから放たれる喜怒哀楽の言霊とメッセージ。未発表だったTERRY THE AKI-06との幻の曲“CHILLIN'”も収録。 *馬渕

 

NANJAMANプロデュースの初フル作。全体に王道ダンスホールなトピックと気骨を踏まえつつ、持ち前の低音ヴォイスで塀の中の実体験を淡々と、かつ軽妙に綴る表題曲が本作を代表。お互いをコミカルに描写しながら心からの敬意を送るSAMI-T(MIGHTY CROWN)との共演は、ひっくり返すオチも(笑)。 *一ノ木

 

BIG BEAR GHETTO PLAYER Scorpion International(2014)

前作から4年の間に大阪シーンの牽引役へと成長したシンガー。EDMナイズされたソカ曲を筆頭に、ヴォコーダー・ヴォイスを使って伸びやかな高音を引き立てたアップ群は流石の安定感。バッドマン風情満点のDJスタイルを披露する表題曲など、新味のアピールも忘れません。理想的な2作目だと思います。 *山西

 

J-REXXX M.U.S.I.C DIGITAL NINJA(2014)

現場叩き上げのパフォーマンスと縦横無尽の早口DJで人気急上昇中のJ-REXXX。このサード・アルバムでは利権やジェラスなど世の中のネガティヴに目を向けながら、地球の上で愛を歌おうぜと拳を突き上げる。共同制作に名を連ねるのはトラックメイカーの774。まさに〈ほっとけない〉アルバムだ。 *馬渕