幅広く活動する4人の多様なイン/アウトプット

 バンド以外での活動の場を持っているだけに、音楽的なインプットの方法も多岐に渡るNothing’s Carved In Stoneの面々。ここでは、そのいくつかを追ってみよう。まずは、手練れが揃うメンバーそれぞれの外仕事。各々がパーマネントに所属する別プロジェクトを除くと、最近の参加作品は生形が椎名林檎の最新シングル“NIPPON”、日向はTK from 凛として時雨のニュー・シングル“unravel”、大喜多はやはり凛として時雨のピエール中野による初ミニ・アルバム『Chaotic Vibes Orchestra』に参加。そして、村松はソロで弾き語りライヴを行っている。そこでは浜田省吾のカヴァーやNothing’sの“Diachronic”のなかにオアシス“Wonderwall”を挿入したりと、Nothing’s曲以外も披露している模様だ。

 「弾き語りはここ2~3年で始めて気付いたんですけど、歌えば歌うほど上手くなるんですよ。例えば今回の“キマイラの夜”とかは、弾き語りで鍛えてなかったらできなかったと思うんですよね。あと、おもしろいのは自分たちが何をやってるのかわかるってこと。Nothing’sの曲は4人がいるっていう前提のアレンジで成立させてて、それがうちの特徴だったり」(村松)。

椎名林檎の2014年のシングル“NIPPON”

 一方、リスナーという立場からも自身の手の内を増やし続けている彼ら。過去作では具体的なアーティスト名や作品名を挙げてイメージの共有を図っていたこともあったが、今回の新作ではどうだったのだろう?

 「参考音源っていうんじゃないんですけど、こないだひなっちが言ってて、俺もそう思ってたのは、“Brotherhood”とか特にコールドプレイっぽさがあるねって。サウンドはだいぶ違うほうにいっちゃいましたけど、ちょっとダンス・ミュージックっぽくて、歌だけじゃなくギターのメロディーとかでも聴かせてくる感じ。そういうモチーフの使い方に同じような匂いがあるなって。あとは、“(as if it’s)A Warning”のCメロ(生形のスパニッシュなギター・ソロに続く箇所)って俺があんまりつけないメロディーなんですよね。これは〈AIR JAM〉世代のBACK DROP BOMBとかSCAFULL KINGとか、ああいうラテン系の音楽が好きそうな感じのバンドマンが書くようなメロディーラインっていうか。だから今回は、そこへの憧れリスペクト的な部分も含めて書いてますね」(村松)。

コールドプレイの2014年作『Ghost Stories』収録曲“Magic”

 そして最後は、生形と村松が近頃聴いて良かった作品。もしかしたら、これらが今後のNothing’sサウンドに反映されることもあるかも?

 「ブライアン・イーノとカール・ハイドのアルバムが2枚続けて出ましたけど、前に出たほうが好きですね。後のはカッコイイけどかなり実験的で。あとはエド・シーラン。若いのにすごい人だなって。2曲目(“I’m A Mess”)がとんでもなく良くて」(生形)。

 「俺は、いまはバンド・サウンドのほうに耳が傾いてて、去年のやつですけどネイバーフッドが良かった。マットなのに艶がある、大人のロックな雰囲気がしっくりきました。エレクトロニックな方面だとノイジーなもの。耳の刺激として入ってくる、過激な音を聴いてますね」(村松)。

エド・シーランの2014年作『X』収録曲“I’m A Mess”

 

▼関連作品

左から、椎名林檎の2014年のシングル“NIPPON”(ユニバーサル)、TK from 凛として時雨のニュー・シングル“unravel”、凛として時雨 ピエール中野のファースト・ミニ・アルバム『Chaotic Vibes Orchestra』(共にソニー)。イーノ・ハイドの2014年作『Someday World』(Warp)、エド・シーランの2014年作『X』(Warner UK)、ネイバーフッドの2013年作『I Love You』(Columbia)、オアシスの95年作『(What’s The Story) Morning Glory?』(Creation)、浜田省吾の81年作『愛の世代の前に』(Clear Water/ソニー)、コールドプレイの2014年作『Ghost Stories』(Parlophone)、BACK DROP BOMBの2013年作『59days preface』(cutting edge)

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