COLUMN

マシュー・ボーンの「白鳥の湖」

英国ブームな人にもお薦め、鬼才による古典バレエの〈男祭り〉ヴァージョン

マシュー・ボーンの「白鳥の湖」

 今や海外エンタメで注目度No.1ブランドの地位を確立した“英国系”。昔からUKの俳優はハリウッドで活躍していたが、ここにきて『シャーロック』(BBC)や『ダウントン・アビー』(ITV)など英国を舞台にしたTVドラマが米国でも大ブレイク。日本でもベネディクト・カンバーバッチを筆頭に“英国男子”にハマリ中の人々がここ数年で爆発的に増殖している気がする。そんなお茶の間の英国ブームに乗っかって読者にぜひお薦めしたいのが9月に待望の再来日公演を控えた、ロンドン出身の鬼才マシュー・ボーン率いるダンスカンパニー「New Adventures」による『白鳥の湖』だ。古典バレエに新解釈を施した作品などで知られる同カンパニー。本作もチャイコフスキーの音楽はそのままに、オリジナル版の童話風な王子と白鳥姫の純愛物語から、男性ダンサーを中心にしたワイルド&セクシーな踊り満載の演目へと大胆なる変貌を遂げ、1995年の初演(※当時はAdventures in Motion Pictures)以来、舞台芸術シーンを席巻。ブロードウェイにも進出を果たし、1999年のトニー賞で3冠にも輝いている。作風は〈英国系〉らしい少々どぎつい皮肉やユーモアに溢れた問題作だが、そのクオリティの高いステージはバレエ入門者をも魅了すること間違いなし。ということで今回が4度目(4年振り)の来日公演となる本作の見どころを8/27発売の2012年版(DVD/Blu-ray)映像商品で簡単にご紹介しよう。

マシュー・ボーン マシュー・ボーンの『白鳥の湖』2010年版 ワーナー(2014)

 物語の舞台は(英国王室っぽい)とある王国。主人公の王子はチャーミングな〈英国男子〉風だが、幼い頃から抑圧された生活を余儀なくされており孤独を抱えてそう。唯一の肉親である女王は美しいが母親としては冷たいタイプだし、ガールフレンドもいるがノリが軽過ぎて、ロイヤル・ボックスでバレエ観戦してる時なども浮きまくりで、もちろん女王も交際には大反対。ある夜、いかがわしいナイトクラブで彼女を見つけた王子は大ショック。しかも客の水兵たちにちょっかいを出されて思わずケンカになり店から追い出されてしまう。そこに流れてくるのが哀愁に満ちたあのお馴染みの旋律《白鳥の主題》…と、ここまでが第1幕。当然これらは台詞も歌もなく、音楽に乗せたダンス・パフォーマンスだけで展開されるわけだが、まるで饒舌な演劇を観ているかのよう。

 さて、オリジナル版なら王子が魔法で白鳥の姿に変えられたオデットと湖で出会い、愛の力で呪いを解くと誓うロマンティックでファンタジックな第2幕だが、本作の王子が公園の池で出会うのは何とも男臭いオスの白鳥たちの群れ。その中でもひと際力強くて美しいリーダー格の〈ザ・スワン〉に心を奪われてしまった王子は、最初こそ圧倒されつつも勇気を出して群れに飛び込み、〈ザ・スワン〉を追いかける。そして有名な“グラン・アダージョ”を男同士でねっとりと身体を絡め合って踊り、めくるめく愛の世界へ。ついに自分が何者なのか、何を求めていたのかを知った(であろう)王子は晴れやかな表情で白鳥たちと別れ、帰路につくのであった。

 第3幕は宮廷舞踏会から。招待客も揃って宴もたけなわの頃、突然ファンファーレと共に〈ザ・スワン〉そっくりでイケてる革パンの男〈ザ・ストレンジャー〉が登場。そのマッチョな雰囲気で女性たちを見境なく誘惑し、女王にもモーション掛けまくりのヤツの行動が理解できず錯乱する王子は、とうとう銃を持ち出す騒ぎを起こし、幽閉されてしまう。ある夜、ベッドでまどろむ(クスリ漬け?)王子のもとに白鳥たちが現れて、何故か激しく攻撃。そこへあの〈ザ・スワン〉が駆けつけ、身を挺して王子を救おうとするのだが…果たして彼らの運命は…

 とまあ、とにかくストーリーは奇想天外だが、スタイリッシュでインパクトのあるダンスシーンは圧巻。ちなみに今回の日本公演ではゲスト参加で〈スワン/ストレンジャー〉を踊るABTのトップダンサー、マルセロ・ゴメスにも大注目…って彼は“ブラジル男子”だけどな!

 

LIVE INFORMATION

マシュー・ボーンの「白鳥の湖」

○9/6(土)~21(日) 
会場:東急シアターオーブ(渋谷ヒカリエ11F)
演出・振付:マシュー・ボーン 美術:レズ・ブラザーストン 
音楽:ピョートル・チャイコフスキー
出演:ニュー・アドベンチャーズ
ザ・スワン/ザ・ストレンジャー:ジョナサン・オリヴィエクリス・トレンフィールド、マルセロ・ゴメス(アメリカン・バレエ・シアタープリンシパル)
王子:サイモン・ウィリアムズクリストファー・マーニー
女王:マドレーヌ・ブレナン ガールフレンド:アンジャリ・メーラ、 キャリー・ジョンソン

http://www.swan2014.jp

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