ドイツを代表するバリトン、ゲルハーヘル、久しぶりのシューベルト歌曲集。ピアノは盟友ゲロルト・フーバー。今回は《春の想い》《夜咲きすみれ》《双子座に寄せる舟人の歌》といった、超有名所という訳ではないのですがリートの王道を行く名曲揃いの選曲と仕上がりになっています。オペラ、宗教曲のソリストとしても幅広い活躍を続けているゲルハーヘルですが、その柔らかな繊細さと骨太で芯の通った力強さを合わせ持ったその歌声と表現力はリートの世界でも実に魅力的な存在だと今さらながら改めて気づかされます。これからの成熟ぶりがますます楽しみです。