DANCE BETWEEN THE LINES
[特集]ダンスフロアはいま、どこにある?
オンもオフもなく、多才な音楽家が自由に活躍する昨今。何かと何かの間に広がる巨大なフロアは、こんなに楽しいダンス・ミュージックで揺れているよ!


 

HERE IS THE...
とびきり楽しいダンスフロアへ導いてくれるクリエイターたちはこちら!

 音楽を発表する場が爆発的に多様化したここ数年の間に、アニメやゲーム、ボカロ作品といった二次元由来のカルチャーやアイドル・ポップなどとクラブ・ミュージックも大きく接近。その結果、さまざまなラインを経由して登場した魅力的なクリエイターがいま、同じフロアを共有するというエキサイティングな状況が出来上がっている。入り口はどうあれ、ここではそうした楽しいダンスの時間を約束してくれる、オススメのアーティストを選りすぐって紹介しよう。 *bounce編集部

 

Avec Avec

大阪在住のTakuma Hosokawaによるソロ・プロジェクト。初期はアニソンのリミックス音源などをネットに公開していたが、2011年からAvec Avec名義での活動を開始。2012年にUSのマッシュからEP『Plastic Soul Redux』を発表し、続くMaltineからの傑作『おしえて』で、メランコリーが端々からこぼれ落ちるモダン・ビート仕立てのシティー・ポップ路線を確立する。近年はlivetuneからBuffalo DaughterFRONTIER BACKYARDまでに至るリミックス仕事に加え、Yun*chi一十三十一らに楽曲を提供。90sムードを採り入れたSeihoとのアーバンなポップ・ユニット、Sugar's Campaignで初のCDリリースも控えている。 *北野

【参考動画】Sugar's Campaignの2012年の楽曲"ネトカノ"

 

▼関連作品

左から、一十三十一の2014年作『Snowbank Social Club』(Billboard)、FRONTIER BACKYARDのリミックス集『gladness』(Niw!)、Sugar's Campaignのファースト・シングル“ネトカノ”(Sugar's Campaign) 

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Idiot Pop

2009年に『Idiot Pop.』でアルバム・デビューしたトラックメイカー。当初はエレクトロフィジェット・ハウスミニマル・テクノなどの時流を汲んだダンス・トラックに小室哲哉マナーのメロディーが乗るという音楽性だったが、徐々に歌の比重が増加。今年発表された最新作『UNIVERSE』は、90s~2000s初頭のJ-Popと近年のUSインディー・シーンを繋ぐ電子ポップス作品に。また、2013年のリミックス盤『TOY POP』にはMaltine界隈などネット発のクリエイターを多く招いており、主宰レーベルからはCarpainterを送り出すといった次代への目配せも。 *土田

 【参考動画】Idiot Popの2014年作『UNIVERSE』収録曲“コズミックダンサー×プラトニックスター”

 

▼関連作品

Idiot Popの2014年作『UNIVERSE』(MOTION±)

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SEKITOVA

95年の元旦生まれだというから、いまだ10代の恐るべきテクノ・チルドレン。2011年にMaltineからの作品で脚光を浴び、翌年には自身が主宰するZAMSTAKから初のフィジカル作品『Premature Moon And The Shooting Star』を発表(この時まだ高校生!)。テクノ/ハウス系のミニマルなリズムを動力に、ディープな空気を生み出していく腕前は、アップアップガールズ(仮)のリミックスなどでも堪能できる。別掲のbanvoxとはJamborideというユニット活動も。 *北野

 【参考動画】SEKITOVAの2012年作『Premature Moon And The Shooting Star』のトレイラー映像

 

▼関連作品

SEKITOVAの2012年作『Premature Moon And The Shooting Star』(ZAMSTAK)

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DJ'TEKINA//SOMETHING 

ボカリーモ界の人気Pであるゆよゆっぺと別名義=DJ'TEKINA//SOMETHINGとの関係性は、スクリーモ・バンド、フロム・ファースト・トゥ・ラストのヴォーカリストからスクリレックスへと転身したソニー・ムーアのそれと同様と言える。今年4月にデジタル配信された初作『DJ'TEKINA//SOMETHING』は、ダウン・チューニングのギターをウォブル・ベースに置き換えた極悪ブロステップから清々しいエレクトロ・ハウスまで、正面突破のEDM仕様。フィジカルで聴けるのはいまのところ外仕事が主で、でんぱ組.incTRFのトリビュート盤が比較的入手しやすい。 *土田

【参考動画】ヴォーカルにゆよゆっぺを迎えたDJ'TEKINA//SOMETHINGの2014年の楽曲
“You Need Fxxkin' Anthem”

 

▼関連作品

左から、ゆよゆっぺの2014年作『ぼかろほりっく』(flying DOG)、でんぱ組.incの2013年のシングル“でんでんぱっしょん(相沢梨紗盤)”(MEME TOKYO/トイズファクトリー)

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Pa's Lam System

覆面姿でのパフォーマンスも話題の3人組。活動初期はバンド形態だったようだが、シューゲイザー経由のドリーミーなインディー・ポップを経て現在は完全にダンス・ミュージック化。UKガラージジャージー・クラブに通じる跳ね系のビートとキャッチーな歌メロが特徴で、先日Maltineから発表された“I'm Coming”はAvec AvecやPARKGOLFらによるリミックスも話題に。今後は別掲のニルギリスを皮切りに、地上仕事も増加しそうだ。 *北野

 【参考動画】Pa's Lam Systemの2014年の楽曲“I'm Coming” 

 

 

HABANERO POSSE

2009年にMaltineより配信されたLAMP EYE“証言”の海賊リミックスでヒップホップ畑にその名を広めたLEOPALDONGUNHEADと、DEXPISTOLS周辺での活動でも知られるFYS a.k.a BINGOが2011年に結成したDJユニット。ダブステップムーンバートントラップなど旬のベース・ミュージックを次々と飲み込みながら、そこにひと匙のユーモアを加える捻り具合が絶妙で、ZeebraKLOOZらにトラックを提供している他、倖田來未からSHINGO☆西成までリミックス仕事も膨大だ。2013年には80KIDZなどを擁するPARKから初作『Jazzinn EP』を配信リリース。とことんアゲまくるDJプレイは、ネット・ラジオのblock.fmにレギュラー番組がアーカイヴされているので確認を! *北野

 【参考動画】HABANERO POSSE 2013年のイヴェント〈BUBBLIN'〉でのパフォーマンスの模様

 

▼関連作品

左から、Zeebraの2013年作『25 TO LIFE』(ARIOLA JAPAN)、SHINGO☆西成のミックスCD『ラガッ&ラパッ ~客演曲ほとんど&REMIX ちょい~ ディジェッ by DJ FUKU』(昭和レコード)、以下、共に2013年のコンピ『ELECTRONIC DISNEY MUSIC』(Walt Disney)、『PARK compilation 01』(PARK)

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The LASTTRAK

アニソンの海賊リミックスで名を上げ、MINTCHIEF ROKKA楽団ひとりらヒップホップ周りとの仕事でも知られる、TakachenCo.C.Sayidによる兄弟ユニット。リキッド・ファンク調のドラムンベースからギラギラのトラップまでその作風は幅広く、近年はチームしゃちほこナグリアイといったアイドルからボカロもの、念願(?)のアニソン公式仕事となるfhana“divine intervention”にティーン・ラッパーのPAGEまで、リミックス・ワークも一気に増加している。ネット・レーベルのLowferが提唱するナードステップ(アニソンのダブステップ・リミックス)系のコンピにも参加。 *北野

 【参考動画】The LASTTRAKの2014年の楽曲“ドラムンベースの神様”

 

▼関連作品

左から、楽団ひとりの2013年作『LOVE』(ANALOG SCIENCE)、fhanaの2014年のシングル“divine intervention”(ランティス)、9月17日にリリースされるPAGEのニュー・ミニ・アルバム『ノンフィクション・ガール』(キューン)

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HyperJuice

それ以前から各々が幅広い現場やリミックス仕事で名を馳せていたfazerockharaによる東京のユニット。2013年の結成からすぐにミックステープやSabacan発の『Lil' Sabacan EP』を続けざまに投下して注目を集めた。CDで聴けるオリジナル曲は〈KAIKOO〉のコンピ収録の“Aren't You”ぐらいで、この世代の例に漏れず作風は多彩ながら、“Bun di riddim”のようにダンスホールやトラップ・ホップを下敷きにして、悪ノリからワルいノリへと誘うウィキッドなベース使いには問答無用のユニークがある。今年はPART2STYLEZEN-LA-ROCKのリミックス、MINTとのコラボEPも発表しており、もう一歩進んだ広がりもそろそろか。 *轟

【参考音源】HyperJuiceの2014年の楽曲“TRAPPIN RIDDIM”

 

▼関連作品

左から、2013年のミックスCD『POPGROUP PRESENTS KAIKOO PLANET III』(POPGROUP)、ZEN-LA-ROCKの2014年のEP『HEAVEN FORNIA』(ALL NUDE Inc./Pヴァイン)、エレクトリックリボンの2013年のEP『エリボンちゃん』(SUKOYAKA) 

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KAN TAKAHIKO
例えばageHaとMOGRAを地続きにするような昨今のフロア事情をいち早く読み取って現場に反映してきた重要人物のひとり。TeddyLoidBooty Bronxらと同じくTCYからリリースする一方、Beatportのダブステップ・チャート入りした実績もあり、いわゆる東京エレクトロの流れも汲みつつ、HABANERO POSSEと共にムーンバートンの普及に努め……と、一面的なイメージでは計れない影響力を多方面で発揮している。ボーダレス感をアピールする必要もない先見性は、〈速い系〉もEDMも正統ハウスも同人モノもワンネスで貫いた多幸性ミックスCD『Nu Skool Euphoria』にも明白だった。今後は自作にも期待したい。 *轟

 

 【参考音源】KAN TAKAHIKOの2014年の楽曲“Practice2”

 

▼関連作品

左から、KAN TAKAHIKOの2014年のミックスCD『Nu Skool Euphoria』(Superset)、m-floの外仕事+リミックス集『m-flo inside -WORKS BEST V-』(rhythm zone)

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Carpainter

tofubeats“ディスコの神様”のリミックスで一気に名を上げた彼は、兄弟ユニットのSeimei & Taimeiとしてネット・レーベル兼クリエイター集団のTREKKIE TRAXを主宰する現在20歳のアーティスト。2012年に同レーベルから初作『Carpainter』を発表して以降、Maltine、Idiot Pop、フィンランドのトップ・ビリンから作品を連発し、2ステップの洗練性と躍動感にフィジェット・ハウスのファンキーなノリを合わせたような音作りで注目を集めている。いまのところゲーム「モンスターハンター」の音楽のリミックスなど、CDで入手できる音源は少ないが、ダブステップ寄りなSeimei & Taimeiでの活動を含め、今後が期待される逸材だ。 *北野

 【参考動画】Carpainterの2013年の楽曲“Fancy Night Step”

 

▼関連作品

左から、2014年のコンピ『MONSTER HUNTER COMPILATION“RE:”MIX CHIP TUNE』(カプコン)、tofubeatsの2014年のEP“ディスコの神様”(unBORDE)

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