ROCK ROCK ROCK WITH ME!!!!!
60~70年代のジョニーを支えたウィンター・ファミリー

 70年代、ジョニー・ウィンターを中心とする音楽仲間のことを〈ウィンター・ファミリー〉と呼んだ時代があった。親分はジョニー、そして若頭は弟のエドガー・ウィンターだ。この泣く子も黙るウィンター兄弟が、強力な軍団の頂にいた。2人とも音楽的なルーツは同じだが、ブルース馬鹿一代な兄ちゃんに比べ、ピアノとサックスを専攻した弟はもっと柔軟な印象。実験的でプログレッシヴなサウンド作りを標榜しながら、時に洒脱でポップな方向へ進み、70年代末にはディスコ作品を発表している。また、ファンキーでグルーヴィーな“Alta Mira”(72年)などが〈フリー・ソウル〉視点から再評価されたこともあったっけ。でもやっぱり兄弟の固い絆を感じさせる共演盤が素晴らしく、とりわけジョニーの初期作品で聴けるエドガーの熱っぽいプレイには、いつだって魂を揺さぶられるのだ。

ジョニー&エドガー・ウィンターの76年作『Together』収録“Rock & Roll Medley”

 さて、一家の参謀と言えるのが、マッコイズやデリンジャーを率い、さらに子供ばんどらを手掛けたことでも知られるリック・デリンジャー。時にバック・バンドの一員として、時にプロデューサー/ソングライターとしてジョニーを支えた彼は、エドガー・ウィンター・グループのリード・ギタリストでもあった。これぞアメリカン・ロック!といった豪快な演奏に加え、多彩な音楽志向、ポップなメロディーセンスでファンから愛されている。

70年作『Johnny Winter And』収録曲リック・デリンジャーの“Rock & Roll Hoochie Koo”

 続いて紹介するのは、ダン・ハートマン。ロリータ・ハロウェイ客演のガラージ・クラシック“Relight My Fire”を収めた名盤『Relight My Fire』(79年)で広く記憶されるこのホワイト・ソウルマンは、ジョニーのロック化やエドガーのディスコ化を手助けした人物だ。

ダン・ハートマンの79年作『Relight My Fire』収録曲“Relight My Fire”

 それから、第1期エドガー・ウィンター・グループのギタリストであり、自身がリーダーを務めるモントローズで大ブレイクしたロニー・モントローズも、ジョニー作品には欠かせない(余談だが、リックにせよ、ロニーにせよ、ジョニーはハード・ロック系のギタリストと相性が良いね)。このようにウィンター・ファミリーでは優れたプレイヤーが切磋琢磨し、強力な火花を散らしていたのである。

モントローズの76年作『Jump On It』収録曲“Jump On It”

 

▼文中で紹介したアーティストの作品

左から、ジョニー・ウィンター&エドガー・ウィンターによる76年のライヴ盤『Together』、エドガー・ウィンターの79年作『The Edgar Winter Album』、デリンジャーの79年作『Derringer』(すべてBlue Sky/Columbia)、ダン・ハートマンの79年作『Relight My Fire』(Blue Sky/Hot Shot)、モントローズの76年作『Jump On It』(Warner Bros.)
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