NEW ARRIVAL 2014
[緊急ワイド]ヒップホップ到着’14 Part 7

DUBSTAR STILL RULES
満を持して5年ぶりのアルバム『Sunday Afternoon』登場!! DS455とクルーズする昼下がり

新しいことより、DSらしさを

 「〈どこを切ってもDS〉な、理想的なアルバム。スキットも含めてお約束なことは全部やってる」というDJ PMXの話にある通り、新作『Sunday Afternoon』でもウェッサイ・シーンの王道たるDS455の軸はいささかもブレていない。しかし、何事もなかったかのようにこうして彼らが新たな音を鳴らすまでには時間が必要だった。前作で結成20周年の大きな節目を迎えたとはいえ、2011年のミニ・アルバム『JACK THA PARTY wit’ THA DSC』を挿んで5年ぶりという過去にないブランクの理由もそこにある。多くの例に漏れず、先の東日本大震災が彼らに拭えぬ大きな影を落としたのだ。

 「実は2011年ぐらいに次のアルバムの制作に入ろうっていうことで動きはじめてたんですけど、震災で考えていたことが一気に変わってしまった。DSのイメージである、派手な車に乗って、クラブ行って、シャンパン開けて、みたいなことを歌いたいと思わなかったし、実際トラックもらって書いても、全部震災に関する生々しい曲になって、これは俺らがいまやるべきことなのかな?って疑問に思って」(Kayzabro)。

DS455 『Sunday Afternoon』 BAY BLUES/HOOD SOUND/Village Again(2014)

 『Sunday Afternoon』は、いわばそんな葛藤を経て、彼らがようやく日常を取り戻し、完成させたアルバムとも言えよう。タイトルそのままに、「日曜日の午後のユルい感じ、レイドバック感」(Kayzabro)は制作の大きなとっかかりになったという。

 「〈Sunday Afternoon〉をキーワードに、DSらしいユルいテンションの曲のイメージからどんどん広げていった。機材が進化してミックスの手法も変わってきて、全体にシンプルにはなったし、何曲かニュー・ウェスト系やハイフィー系もやってますけど、サウンドの大枠は変わってない。Facebookで〈いいね!〉してくれる人たちに子供のいる世代がけっこういるのを見てると、(DSのファンは)イヴェントに来てる若い人たちだけじゃないっていうか、逆に来てない世代のほうがもしかしたら多いのかなって思ったりもする。そういう人たちのためにも、新しいことよりいままでやってきたことをやるほうがDSらしいと思いました」(DJ PMX)。