〈劇的〉をアップデートし続けた5人の道程

タワーレコード渋谷店で1日限定リリースされたインディー期のラスト・シングル『GENESIS / R』も含む、活動開始時から約2年半の軌跡を収めたベスト盤。シンセ・オーケストレーションや速弾きのソロといった鋼鉄マナーを備えつつ、現在よりも歌謡色の配分がやや多めの趣。苑の声も初々しい。

 

人の心の深淵を覗く自身の詞世界を端的に示したワードを表題に持つレーベル移籍作。メタリックな様式美がてんこ盛りの冒頭曲に始まり、6分超の壮麗なゴシック・メタル、アコギ使いのバラードなどアレンジは多様。クワイアとストリングスをまぶしたシャッフル・ナンバー“frill”がとりわけ個性的だ。

 

メジャーからの初フル作。リリース当時、Anziは「バンド・ヒーローになりたい」と発言していたが、プレイ、音色、コード進行とさまざまな面において各々のミュージシャンシップが炸裂。格段にドラマ性を増したサウンドが、〈正義(=生の意味)を問う〉というシリアスな命題を強く後押ししている。

 

〈喝采〉を示した“GLORIA”と〈激情〉を表した“Innovational Symphonia”という先行カットを軸に、〈合唱〉を大々的に採り入れることでサウンドに並々ならぬ生命力を注入したコンセプチュアルな一枚。〈第九〉級のエモーションに圧倒される、絢爛豪華なシンフォニック・メタルが目白押しだ。