艶やかなヴァイオリン、深みのあるチェロ、親密な弦楽四重奏、それらが黄昏色のオーケストラとともに奏でるノスタルジックな響き。「詩曲」と呼ばれるこれらの協奏的作品群は、無伴奏ソナタばかりが演奏されるイザイの、作曲家としての全く別の面を示しています。弦の魅力は当然ですが、フランス楽派の影響を受けた大胆な和声進行や、叙情的な雰囲気を盛り上げる壮大な管弦楽書法も後期ロマン派のレパートリーとして申し分の無い充実度。この手の作品を取り上げ、名演に仕立て上げるカントロフの手腕は本当に素晴らしいですね。ハードカバーブック仕様の装丁が美しく、興味深い図版も収録されています。

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