活況を見せるロンドンのクラブ・シーンに刺激を受け、初の〈ダンス・アルバム〉となった前作は、ダン・スナイスの第2黄金期の到来を告げる名作だった。そして、よりフロア・ユースに特化したダフニ名義での作品を経て、4年ぶりにカリブーとして送り出すこのアルバムは、第2黄金期がむしろこれからピークを迎えることを証明している。ダンサブルなビートは前作の延長線上だが、今回はプロダクションやリズムではなく、メロウでロマンティックなメロディーが主役。甘い感傷に満ちた歌声とドラマティックに昂揚するシンセ──それらが織り成すユーフォリックな空間は、何物にも代えがたい美しさだ。過去最高に曲が粒揃いで、淡い切なさが心地良い本作を、彼のキャリア中でもベストの一枚に推したい。