INTERVIEW

河村尚子 『ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番&チェロ・ソナタ』

ラフマニノフを3倍楽しむ河村尚子の新譜

Photo: Petra Hajská

 

 日本デビュー10周年を迎える河村尚子が、イルジー・ビエロフラーヴェク指揮チェコ・フィルとのピアノ協奏曲第2番、クレメンス・ハーゲンと共演したチェロ・ソナタ、そして前奏曲作品23の10と2というコンチェルト室内楽、ソロでラフマニノフを3倍楽しむ新譜をリリース。ピアノ協奏曲はチェコ・フィルの本拠地プラハのルドルフィヌム、チェロ・ソナタはドイツのエルマウ城のコンサートホールでのライヴだ。

  「ラフマニノフのいろんな顔が楽しめる贅沢なアルバムになったと思います。チェコ・フィルとの共演はとても印象深く、偉大なマエストロ・ヴィエロフラーヴェクも音楽性、人間性ともにすばらしかったですし、チェコ・フィルの弦の独特の響きにも魅了されました」

河村尚子 ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番&チェロ・ソナタ RCA Red Seal/ソニー(2014)

※試聴はこちら

 ピアノ協奏曲第2番、チェロ・ソナタはラフマニノフが交響曲第1番の不成功によるノイローゼから回復した後の1900年から翌年にかけて書かれている。

  「ですから、ほぼ同時期に書かれた前奏曲作品23を組み合わせたかったのです。この前奏曲は小さなソナタのような趣があり、個性にあふれています」

 ここに聴く河村尚子のラフマニノフは、長年師事した恩師のヴラディーミル・クライネフの教えが色濃く投影されている。クライネフはロシア・ピアニズムの真髄を弟子にさまざまな方法で伝授してくれた。

  「印象に残っているのはロシア作品を演奏するときには小さくまとめないことという教え。ロシア大陸が大きいのと同様、音楽も大きい。自分のイメージとともによい音色と響きを作っていくことが必要だと」

 今回のチェコ・フィルとの共演は2013年10月の定期公演。3日間の定期と公開ゲネプロがあり、すばらしいホールの響きを存分に堪能しながら、緊張感あふれるなかにもリラックスして演奏できたという。

  「スラヴ特有の響きはラフマニノフを演奏するのにとてもよく合うと思いました。もっとも印象的だったのは、第3楽章の第2主題のヴィオラの音色がホール全体に鳴り響いていく。これは新たな発見でした」

 一方、チェロ・ソナタはピアノ・パートの難しさに最初は苦労したが、本番では相性のいいハーゲンとのデュオゆえ、豊かな自然のなかでのびのびと演奏できた。

 「ソナタは自分の音楽になるまでかなり時間を要しました。このピアノはオーケストラのようであり、チェロを支える面もあります。音符も非常に多く、ピアノは2小節目からずっと弾いているんですよ(笑)」

 河村尚子の10年は多くの困難を乗り越え、偉大な指揮者や新たな人との出会いに嬉々とし、音楽をひたすら磨いてきた。いまや「自分の音」をもつピアニストに成長、その目は次なる10年に向けられている。

 

LIVE INFORMATION

日本デビュー10周年 演奏会スケジュール(一部)

○10/30(木)東京芸術劇場 エリシュカ読売日本交響楽団
○11/4(火)紀尾井ホール 小菅優とのデュオ
○11/8(土)水戸芸術館 ショパン・プロジェクト第1回
○11/9(日)杜のホールはしもと
○3/13(金)東京オペラシティ・コンサートホール[日本デビュー10周年記念リサイタル]

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40周年プレイリスト
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