COLUMN

CHRISTIAN VUUST 『Urban Hymn』/NIKOLAJ HESS 『Edited』

北欧と世界、日本とのつながりの最先端を伝えるレーベルCloud

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  • 2014.10.22

 近年ますます盛んな北欧や東欧のジャズシーン。その盛り上がりに比例するように日本でのレヴューや販売機会も増えている。古くは、伝統音楽の要素や異国情緒あふれる旋律、あるいは憧れをかきたてる独特のデザインセンスのジャケなどがそれらの国々のジャズの代名詞だったが、ここ最近はそうしたイメージはむしろ希薄になってきている。かわりに生まれたのは世界規模での「ハイクォリティ保証」の信頼感。そうした動きの急先鋒がデンマークのジャズシーンだ。

 11月に来日公演が予定されているクリスチャン・ヴーストニコライ・ヘスは、同国の最先端を駆け抜ける気鋭のジャズミュージシャンで、待望の来日に先立ち、ファンに絶対の安心感と期待を裏切らないスリルを与えてくれる彼らのサウンドと同国ジャズシーンの特徴が凝縮された2枚のアルバムがリリースされる。

 

CHRISTIAN VUUST Urban Hymn Cloud(2014)

 ヴーストの最新作『Urban Hymn』はアーロン・パークスベン・ストリートジェフ・バラードによる世界最高峰のピアノ・トリオとの共演盤で、ストレートアヘッドで温かみのあるトーンの彼のサックスと、秘めたテンションを持つ都会的なトリオとのコントラストが、ハイパーモダンなアメリカのジャズとは一味違うハイブリッドな響きを生み魅了する。

 

NIKOLAJ HESS Edited Cloud(2014)

 ヘスの『Edited』は、同じく11月に来日するアンダース・クリステンセンを初めとした国内外の超一級と共演した過去の名盤からのベスト。切れ味と独特の丸みを併せ持つタッチが印象的なヘスのピアノに乗り、ソウルフルな女性ヴォーカルやベン・モンダーのギターが自在に飛び立つ。共通するのは、デンマークのポストモダンな音が世界の先端とつながっている自由な広がりを感じさせる点と、クリアながらも柔らかさのある響き。アンサンブルのまとまりは、評価の高い同国のデザインの機能美を思い起こさせる。

 来日公演とリリースをともに手がけているのはCloud。さらなる進化を遂げつつある北欧の現代ジャズを日本のファンに余すところなく届けてくれるレーベルだ。日本にいながらにして北欧の最先端と、その向こうに聴こえる世界の頂きの響きを味わえる幸福をかみしめたい。