この新作でも引き続きT・ボーン・バーネットをプロデューサーに招き、アメリカーナ回帰を推し進めているのは、メレンキャンプ本人がそこに可能性を見い出したからに違いない。ならば、もはや〈回帰〉とは言えないだろう。自身の80sヒットを彷彿とさせるメロディーにおいても、いまの彼はフォーキーな演奏を背にじっくりと歌い上げる。決して枯れてはいない。無骨さのなかに深い味わいとエネルギーが感じられる。