無防備なまでに抒情的で淡い悲しみと深い郷愁を帯びたメロディーと歌声は40年前から殆ど変っていない。75年のデヴュー・アルバム『飛・び・ま・す』からずっと彼女のファン。そういう人がとても多いと聞くけれど、その理由も良くわかる。歌は世につれ、ではなく、彼女の歌は人の心に寄り添い続け、無情なこの世界や儚い人生を生き続けるしかない人間を、そっと励まし続けたり、慰め続けたりするような種類のものなのだろう。「彼女の歌を聴く度に、中原中也の詩を口ずさんでみた少年少女時代の自分を思い出すのさ」。そんな人の為に彼女は今でもこうして(子守唄を)歌ってくれているのかも知れない。