R&Bファンからの信頼は最上級、なれど支持層を拡大する機会に恵まれてこなかった〈The Prince Of Soul〉だが、これは大きな転機となるだろう。3作を残したシャナキーを離れ、4年ぶりの新作はエリック・ベネイ主宰のジョーダン・ハウスから。“Sexual Healing”を借景したアーバン・メロウな先行曲“We Gon' Love Tonite”からして腰が抜けるほど最高だし、粋なステッピン調の“Hearsay”から敬愛するボビー・ウォマック風のサザン・バラードにまで至るアレンジの多様さと同じくらい、メロディーの口当たりが隅々まで丁寧に磨かれているのは、ほぼ全曲に関与したベネイの采配に違いない。デバージの“All This Love”、OVライト版っぽい“I'll Take Care Of You”という甘苦を表現したカヴァーも的確な傑作!