スリップノットの歴史に、同じ色の作品はふたつと存在しない。6年ぶりのニュー・アルバムについてもそれは同様だ。メンバーは異口同音に「従来とは異なった状況下で作られている以上、違っていて当然」といった発言をしているが、ポール・グレイ(ベース)の他界という悲劇が作風に影響を及ぼさないはずはないし、さらにジョーイ・ジョーディソン(ドラムス)が本作では叩いていないという事実もある。もちろん一聴して彼らだとわかる曲、即座にライヴの定番になりそうなナンバーもあるのだが、オープニングをはじめとする数曲が纏う空気には儀式的な重厚さがあり、歌詞の端々から生と死に関わる表現が垣間見られる。とにかく重い。しかし繰り返し聴かずにはいられない中毒性を孕んでいる。