アレクサンドル・タローの注目すべき新譜は久しぶりの協奏曲だ。モーツァルトの 《ジュノム》、ロンドK386、ジョイス・ディドナートとの共演でコンサート・アリアK505、そしてハイドンという充実の内容。タローの演奏は今作も期待通りの美しい音色で爽快な演奏を聴かせている。ピリオド・アプローチのオーケストラ、ル・ヴィオロン・ドゥ・ロワとの相性も今作においても最高だ。ハイドンの終楽章では、大胆で活力あふれる表現でこの“ハンガリー風ロンド”を見事に表現している。ピアノのオブリガートつきのアリアでは、ディドナートとまさに愛の語らいのようにうっとりするような対話を堪能できる。