INTERVIEW

bohemianvoodoo 『Aromatic』

新世代ジャズのニュー・ヒーロー候補No.1、〈香り〉に込めたイメージをインストならではの想像力で表現したニュー・アルバム

bohemianvoodoo 『Aromatic』

 2年前にリリースした前作『SCENES』が、本人たちもびっくりのロングセラーを記録中。コンテンポラリー・ジャズのファンはもちろん、最近は大学生なども訪れるというライヴの盛り上がりも、大変なことになっている。bohemianvoodooはいまが旬、同じPlaywrightに所属するfox capture planと並んで、新世代ジャズのニュー・ヒーロー候補No.1だ。

 「僕たちが学生の頃は、SOIL & "PIMP" SESSIONSとかquasimodeとか、そのへんのバンドに憧れていました。そういうヒーローがここ数年あんまりいなかったと思うので、いまの高校生や大学生が僕らをそういう目線で見てくれてるのがすごくうれしいですね」(木村イオリ)。

bohemianvoodoo Aromatic Playwright(2014)

 満を持して放つニュー・アルバムのキーワードは、〈アナログ録音〉〈新ドラマー〉〈ヴォーカル曲〉、そして……〈香り〉。とりわけ重要なのは、昨年からバンドに参加しているドラマー・山本拓矢(取材には欠席)のプレイで、とくにラテン系リズムの叩き方が極めて繊細かつ大胆。2人のヴォーカリストがゲスト参加したセルフ・カヴァー曲“Jet Setter”を聴けば、4人の放つグルーヴのしなやかさと力強さは瞭然だ。

 「アルバム1枚通して、ドラムのヒット数は2倍ぐらい違うんじゃないかな(笑)。前のアルバムは、大雑把でも4人で同じ方向を向いてガンッ!と行くサウンドだったんですけど、今回はギターやピアノがガンッ!と行くところで、ボトムを繊細に支えてくれる仕上がりになったと思います」(木村)。

 「(ゲスト・ヴォーカルの)Hiro-a-keyくんとAki Sawazakiさんはもともと友人関係で、波長が合うんですよ。“Jet Setter”は結成直後からずっとやってる曲ですけど、2人のおかげで全然違う、すごく良いものになりました」(Nassy)。

 アルバムのタイトルは『Aromatic』。〈香り〉に込めたイメージが、インストならではの無限の想像力の翼に乗り、美しいメロディーと共にリスナーの心で鮮明な映像となって再生される全13曲。boheminavoodooの音楽は、非常にイメージ喚起力の強いエモーショナルなものだ。

 「前作は〈外側への旅〉というイメージの曲が多かったんですけど、今回は曲のリストを見て〈内側への旅〉が見えるなと。そこでbashiryが〈記憶を辿る旅をしよう〉と言って、じゃあ、記憶を呼び覚ますのは香りじゃないか?ということでタイトルが決まりました」(木村)。

 「“A Peacock”は、母の還暦の誕生日にプレゼントした曲なんです。昔、母が中華街で雑貨屋をやっていて、そこのシンボルマークが孔雀の羽根だったんですよ。俺が小さい頃、店に遊びに行って、店番したり、バスケしたり、ギターを弾いたりしてたっていう、そういう思い出の詰まった曲です」(bashiry)。

 「“Cardamom”はカレーの曲。メンバーみんなカレー好きで、僕はそんなに好きじゃなかったんですけど、この曲を作ってから好きになった(笑)」(Nassy)。

 「2曲目の“El Ron Zacapa”は酒の銘柄ですね。ライヴ会場とかで、みんなでワイワイ飲んでる雰囲気を曲にしてみました。イメージの元はそうなんですけど、インストだから、聴く人それぞれのイメージで自由に楽しんでもらうのがいちばんうれしいです」(木村)。

 バド・パウエル〈クレオパトラの夢〉のカヴァーなどでジャズ・バンドとしてのアイデンティティーを保ちつつも、そこにこだわっているわけではない。自由奔放な感性が生み出す心地良い飛翔感覚を、未体験のリスナーにもぜひ味わってほしい。

 「やってることはたぶん〈フュージョン〉なんでしょうね。現代のこういう音楽を指す言葉がないからうまく言えないですけど、これからも好きなことをやって、出会ってくれる人の数を多くしていけたらいいなと思います」(木村)。

 

  

bohemianvoodoo

木村イオリ(ピアノ/キーボード)、Nassy(ベース)、bashiry(ギター)、山本拓矢(ドラムス)から成るインスト・バンド。2008年に横浜で結成され、東京~神奈川を中心にライヴ活動を開始する。翌年のEP『bohemianbazaar』を経て2010年にファースト・アルバム『Lapis Lazuli』を発表。2011年にはmidnight campLAVAとのコラボを経験し、2012年12月にPlaywright入りしてリリースしたセカンド・アルバム『SCENES』が高い評価を得る。2013年より現編成となり、fox capture planとのスプリットEP『color & monochrome』を発表。今年1月にはブルーノート東京に出演を果たすなど話題を集めるなか、このたびニュー・アルバム『Aromatic』(Playwright)をリリースしたばかり。

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