耳で聴いたピープル・トゥリー
フー・ファイターズをめぐる音楽の果実は、ここに一本のトゥリーを生んだ

LED ZEPPELIN 『Led Zeppelin IV』 Atlantic(1971)

デイヴはツェッペリンのタトゥーを入れるほど気合いの入った信者……ってだけじゃなく、ジミー・ペイジとジョンジーも再結成時のドラマーにデイヴを推薦するほど、この後輩を可愛がっている。FFの“The Pretender”があきらかに“Stairway To Heaven”っぽい件も、きっと先輩は笑って許しているはず! *コージー

 

ZAC BROWN BAND 『Uncaged』 Southern Ground/Atlantic(2012)

ゲイリー・クラークJrやデスキャブのベンと並び、FFの新作に参加した現行カントリー・ロック界のホープ。今回の共演を前にデイヴは彼らのEPをプロデュースしていて、〈オールマン・ブラザーズ・バンドみたい!〉と大絶賛。いまじゃすっかりグラミーの常連だし、ポストFFにもっとも近い存在だと思います。 *山西

 

PUSS N BOOTS 『No Fools, No Fun』 Blue Note/ユニバーサル(2014)

デイヴの甘声が新鮮なFF初のボサノヴァ曲“Virginia Moon”に客演したノラ・ジョーンズ。2005年の発表当時、このコラボは世間を驚かせたが、覆面バンドのエル・マドモが物語る通りノラは案外オルタナ・ロック娘だ。こちらのプスン・ブーツ作品でも90s調のヘタウマ・ギターを随所で披露している。 *智男

 

INFECTED MUSHROOM 『Army Of Mushrooms』 DimMak(2012)

わかりやすい言葉とメロディーで昂揚感を煽るFF曲は、スクリプトやアナスタシアなどカヴァー例も多数。とりわけおもしろい出来なのが、人気サイケ・トランス・ユニットがロッキンなドラムンベースに変換した“The Pretender”でしょう。同曲を収めたこのアルバムの冒頭曲が“Never Mind”っていうのも……! *山西 

 

DAVID BOWIE 『Let’s Dance』 EMI(1983)

デイヴが生涯のフェイヴァリット盤に挙げる一枚で、彼はトニー・トンプソンのダイナミックな演奏に合わせ、よくエアドラムをかましているんだって(やっぱり根っからのドラマーなんだな!)。そんなわけで、ボウイの50歳を祝うライヴや2002年作『Heathen』に招かれた時は、さぞかし嬉しかっただろう。 *コージー

 

DINOSAUR PILE-UP 『Nature Nurture』 So/A-Sketch(2013)

爆音の演奏で〈サマソニ〉を沸かせ、この2作目で日本デビューを飾ったことも記憶に新しいUKの3人組。昨今のグランジ・リヴァイヴァル勢のなかでもハードで男気を感じさせる演奏が身上で、フロントマンのマット・ビッグランドがほぼ一人で曲作りを担っている点もかつてのFFを思わせる。 *智男

 

ハード・ロックはFFサウンドの肝! 特に彼らはヴァン・ヘイレンの大ファンで、本作からのヒット“Ain’t Talkin’ ’Bout Love”をレパートリーにするほか、ユーモア溢れるPVは初期の、近作でのスケール感のある演奏は中期のビッグVにモロ影響されているではないか! あ、サミー直系のシャウター型ヴォーカルも! *コージー

 

QUEENS OF THE STONE AGE 『...Like Clockwork』 Matador(2013)

本作のレコーディング直前にドラマーが脱退した際も、ジョシュ・オムの嫁(ブロディ・ドール)がソロ・デビューした際も、すぐさま駆けつけたデイヴ。何でも、煮詰まった時はお互い真っ先に相談するらしく、砂埃まみれの乾いた硬質ロックを志向する男たちは、固い絆で結ばれているのだ! *コージー 

 

Nothing’s Carved In Stone 『Silver Sun』 エピック(2012)

ELLEGARDEN時代にFFの前座を務めたことがある生形真一。彼のドライヴィンなギターで始まる本作収録曲“Advance Forward”を、“No Way Back”っぽい!と思う人は多いはず。他メンバーも別バンドでFFをカヴァーするなど感化されていることは間違いなさそうですが、垢抜け度と演奏技術はNCISが上だよ! *山西

 

GENESIS 『Duke』 Charisma/Atlantic(1980)

浜田省吾やモーリス・ホワイトなど、ドラマーからフロントマンになったアーティストはデイヴの他にも存在しますが、フィル・コリンズも然り。ドラマーならではと言うべきか、グルーヴを活かした簡素な歌メロが万人の心を掴み、本作でバンド初の全英1位を記録。ピーガブ期の幻影を完全に払拭したのです!  *山西

 

SOUNDGARDEN 『King Animal』 Mercury(2012)

FFの良きライヴァルと言えばコイツら! 特にクリス・コーネルとデイヴは、筋肉質な体型のみならず、外部プロジェクトが多い点や、コブシの効いた演歌チックな歌唱などに類似点を見つけられる。なお、キム・セイルがプロボットに参加したり、デイヴが本作収録曲のPVを手掛けたり、実際に絡みも多し! *コージー

 

JOHN FOGERTY 『Wrote A Song For Everyone』 Vanguard(2013)

FF参加曲を含むセルフ・カヴァー集。かつてFFはシングルのカップリング曲としてCCR“Born On The Bayou”も取り上げていたが、なるほど、USルーツ音楽を見直そうとする近年の動きは御大を手本にしているのか!? また、〈元祖パンク〉とも言われるそのシャウトにも、デイヴは多大な影響を受けたはず。 *智男

 

MAN WITH A MISSION 『MASH UP THE WORLD』 クラウン(2012)

Jean-Ken Johnnyは大のデイヴ好き。過去にはニルヴァーナのトリビュート盤『NEVERMIND TRIBUTE』に参加し、今年出たUS進出作でも“Smells Like Teen Spirit”のカヴァーを収録している。が、音のスタイルは俄然FF寄りで、暑苦しいほど歌メロ重視のラウド・ロックを詰めた本作なんてどうよ!? *コージー

 

THE PRODIGY 『Invaders Must Die』 Take Me To The Hospital(2009)

ニルヴァーナやブリーダーズのネタ使いにL7のリメイクなど、USオルタナ趣味をちょこちょこ匂わせてきたプロディジー。その思いが結実し、本作ではデイヴのドラムをフィーチャーすることに! で、剛腕プレイの恩は剛腕ブレイクスで返すべし!と、後に彼らはFF“White Limo”のリミックスを手掛けています。 *山西

 

HOLE 『Nobody’s Daughter』 Mercury(2010)

コートニーとデイヴの和解は今年のロック界を代表するニュース。「カートはデイヴを嫌っていた」だの「デイヴが私たちの娘に手を出した」だの、何かと言いがかりをつけてきた彼女を許すなんてデイヴは器がデカイ。数多のスキャンダルのせいで正当に評価されてこなかったホールも、これを機に少し見え方が変わるかな? *智男