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MANNERSのレコ発で感じた、初作『Facies』の洗練とその先にある世界

MANNERSのレコ発で感じた、初作『Facies』の洗練とその先にある世界

約3か月ぶりのブログ更新、すっかり編集部スタッフの更新が滞っておりますが、そこは編集部外の執筆者の方々に素晴らしい記事を書いていただいているのでどうかご容赦を…といったあたりで早速今回の本題へ!

去る12月9日、東京・渋谷O-nestで行われたイヴェントに遊びに行ってきました。この日の企画は、元埋火見汐麻衣さんの新バンドであるMANNERSが10月にリリースした初音源となるミニ・アルバム『Facies』のレコ発ライヴ。もともと、国産のサイケデリック・ロック(アシッド)フォークに通じる70sかつややアングラな空気感を漂わせていた埋火の頃から見汐さんのファンでしたが、生でパフォーマンスを観るのはこの日が初。前述の初音源では、埋火時代のスタイルを踏襲せず、近年は坂本慎太郎OGRE YOU ASSHOLEらとの仕事でも玄人を唸らせている石原洋中村宗一郎両氏の名チームを制作陣に迎え、都会的な(とはいえいわゆるシティー・ポップやR&B的なアーバンとも違う絶妙なバランスの)サウンドを構築していて、その変化に驚いていたところでした。

 

そんな『Facies』の世界観がどう再現されるのか楽しみだったこの日のイヴェントには、見汐さんとはアニス&ラカンカでの活動でも知られるmmmさんを擁するマリアハト、そして見汐さんとは2人で飲みに行くほど仲が良いという前野健太さんが出演。前者のステージは初体験でしたが、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドソフト・ロック化したような(……違うな、うまく言い表せない!)音が印象的でした。後者のライヴでは、たまたま通りがかった(?)ソープランダーズのメンバーでもある須藤俊明さん、石橋英子さんが参加するというハプニングもありつつ、結果的にはそれぞれの個性が際立った熱演を観ることができました。

そしていよいよMANNERSがステージに登場。脇を固めるのは、『Facies』の録音に参加した坂口光央(キーボード)、あだち麗三郎(ドラムス)、亀川千代(ベース)の凄腕三人衆。見汐さんはジャズマスターを抱えてフロントに立ちます。ある程度予想はしていたものの、この日のセットリストの半分はアルバム未収録の楽曲。『Facies』でのモードともまた若干違った雰囲気のオープニング・ナンバー“dawn”を含め、MANNERSがまだまだ進化の途上にあることを実感できたパフォーマンスでした。白眉だったのが、フェイク・ジャズならぬフェイクなブラコンとでも呼びたい黒っぽいグルーヴが坂本慎太郎の近作の作風にも通じるタイトル未定の新曲と、埋火とはまた一味違うサイケデリックなアプローチに酔ったアンコール曲“予感がしない”。もちろんアルバム曲にはライヴならではの魅力が加わり、クールさのなかに秘められた熱を肌で感じられたのがよかったです。洗練された“暗号”を泳ぐファズ・ギターのソロの酩酊感といったら!

バンドは来年1月27日(火)に東京・高円寺U.F.O.CLUBでライヴを行うとのこと。こうした現場での経験を経て、きたるべき次回作ではどのような音が鳴らされるのか非常に楽しみです。

 

〈MANNERS Presents 『Facies』Release LIVE〉@ 渋谷O-nest 2014.12.9 セットリスト
1. dawn
2. Facies
3. 新曲
4. ため息をさがして
5. 朝の終わり
6. 影絵の街
7. 暗号
アンコール
1. 予感がしない

【プロフィール】
船越 太郎

船越 太郎 (ふなこし たろう)

Mikiki編集部員。タワーレコード入社後、店舗バイヤーを経てオンラインのニュース担当となり、このたび〈耳利き〉への第1歩として編集部で勉強することに。ラーメンより蕎麦派。ジャズが流れているシャレオツ蕎麦屋より断然老舗派です。

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