DISC GUIDE

世界はリオン・ウェアに包まれている(前編)―自身の作品からMJ、マーヴィン・ゲイまで、リオンの仕事を振り返る

【IN THE SHADOW OF SOUL:ソウル・ミュージックの光と影(連載)】[第78回]永遠のリオン・ウェア Part.2

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  • 2014.12.16

THE ISLEY BROTHERS The Motown Anthology Motown(2009)

モータウンのライターだった頃のリオン仕事を収録した2枚組のベスト盤。アイヴィ・ジョー・ハンターらとペンを交えた“Got To Have You Back”は裏方としての初ヒット(67年のR&B部門で47位)となるエネルギッシュなノーザン・ストンパーで、途中のメロディアスなラインに彼らしい感覚が滲む。クラレンス・ポールらと共作した“Catching Up On Time”も同路線。アイズリー兄弟には92年作でも関与している。 *林 

 

 

THE BALLADS The Gift Of Love Venture/Pヴァイン(1969)

モータウン周辺の裏方がプロデュースした西海岸のヴォーカル・グループによる唯一のアルバムで、リオンも2曲を制作。後の妻でスプリームスに加入するスザイー・グリーンと“Wish I Knew”を、ミッキー・スティーヴンソンと“I'm Nothing Without Your Love”を共作し、テンプテーションズ色の強い後者ではリオン流のやるせないメロディーが顔を出す。 *林

 

 

IKE & TINA TURNER Come Together/Nuff Said BGO(2010)

険悪な夫婦仲にしてデュオとしては絶頂期を迎えていた頃の『Nuff Said』(71年)で、リオンは半数近くの曲を共作。ティナの激唱とアイクの破天荒な音使いに圧倒されるばかりだが、“Sweet Flustrations”などでのスワンプ・ロック的ブルージーネスは、翌年に同じユナイテッド・アーティスツからリオンが放ったソロ・デビュー作に共通するものだ。 *林 

 

 

MICHAEL JACKSON Got To Be There Motown(1972)

MJのソロ・デビュー作に収録され、シングルが大ヒットした“I Wanna Be Where You Are”は、リオンのソングライターとしての名声を高めたT・ボーイ・ロスとの共作曲。歌い出しから目頭が熱くなるようなリオン流の旋律が登場し、ジャクソン5の時よりも大人っぽさを意識したMJのソロ活動を後押しした。73年にもリオン作の“Euphoria”を熱唱。 *林

 

 

LEON WARE Leon Ware United Artists(1972)

デラニー&ボニー版も前後した“I Know How It Feels”などボニー・ブラムレットとの共作2曲を含め、スワンプ人脈の界隈で録られた初のアルバム。ゴスペル風コーラスが全体の印象を支配し、己のキャラ(?)を把握する前の丸裸な熱唱ぶりもあって、南部系シンガー・ソングライター作品として楽しめる。ネタ人気の高いアーシーな“What's Your World”もここに。 *出嶌

 

 

DONNY HATHAWAY Extension Of A Man Atco(1973)

70年代ニュー・ソウル屈指の名盤である本作のラストを感動的に締め括ったのが、リオンのペンによる“I Know It's You”だった。ジェリー・ウェクスラーの提案で録音されたこれは、教会出身のダニーとリオンのゴスペル感覚が見事にマッチした厳かでドラマティックなバラード。リオンは自身の来日公演でも披露するほど思い入れがあるようだ。  *林

 

 

QUINCY JONES Q80 ユニバーサル(2013)

Q御大の生誕80周年記念のベスト盤に、リオンが歌で参加していた『Body Heat』(74年)と『Mellow Madness』(75年)からの計3曲を収録。74年作の表題曲やアヴェレージ・ホワイト・バンド版でも有名な“If I Ever Lose This Heaven”はリオンが曲も書いたメロウ・クラシックだ。75年作で歌ったのはスティーヴィー・ワンダーの“My Cherie Amour”。 *林

 

 

THE MAIN INGREDIENT Rolling Down A Mountainside/Music Maximus Expansion(2014)

NYのヴォーカル・トリオによる75年作と77年作には、リオンとジャクリーン・ヒリアードの共作曲が1曲ずつ登場。アイザック・ヘイズが先に歌っていた“Rolling Down A Mountainside”と、リオン自身が76年作で取り上げた“Instant Love”がそれで、切なくも昂揚感溢れる曲をキューバ・グッディングが泣きの歌唱で歌い上げる。 *林

 

 

MINNIE RIPERTON Adventures In Paradise Capitol(1975)

リオンがミニーと彼女の夫リチャード・ルドルフと一緒に書いた3曲を収録。ATCQによる引用でも有名な“Baby,This Love I Have”と“Inside My Love”(後者はリオンの自演ヴァージョンを含めカヴァーも多数)、及び“Feelin' That Your Feelin's Right”がそれで、ジョー・サンプルらのジャジーな演奏が曲のメロウネスを引き立てている。次作に収録の“Can You Feel What I'm Saying”も同チームの作。 *林

 

 

MARVIN GAYE I Want You Motown(1976)

裏方としてのリオンを代表する名盤。相棒のT・ボーイ・ロスと自身のアルバムを制作中に、その楽曲を気に入ったマーヴィンが自分のものにして録音したという作品だ。カヴァーの絶えないタイトル曲を筆頭に、“Come Live With Me Angel”“After The Dance”など、全編でマーヴィンの多重コーラスが妖しく舞い、ロマンスと官能をメロウに描いた内容は、まるで〈音で聴くポルノ〉といった趣。 *林 

 

 

LEON WARE Musical Massage Motown(1976)

マーヴィン・ゲイに楽曲を提供した代償としてモータウンから発売権を得たリオンのセカンド・ソロ作。ハル・デイヴィスとの共同制作曲を含む内容は、演奏陣も含めて〈裏『I Want You』〉的なもので、ミニー・リパートンとの“Instant Love”や再演となる“Body Heat”など、クインシーの74年作の流れも汲む。音楽療法士がエロティックに揉みほぐす一枚。 *林

 

 

G.C. CAMERON G.C. Cameron Motown/ユニバーサル(1976)

スピナーズのリードによるソロ2作目で、リオンはT・ボーイ・ロスと共作した“Me And My Life”をプロデュース。コールリッジ・テイラー・パーキンソンらのゴージャスなアレンジを受けて昂揚していくようなGCの熱い歌が最高で、同様にリオン作のクインシー・ジョーンズの名曲“If I Ever Lose This Heaven”も壮麗な音をバックに歌い上げる。  *林

 

 

SYREETA One To One Motown(1977)

キュート・ヴォイスの歌姫で、リオンがスティーヴィー・ワンダーから制作者としてのバトンを受け継いだ点ではミニー・リパートンと同じだろう。“Harmour Love”のみスティーヴィーの制作だが、弾むような表題曲を筆頭に、彷徨うようなメロディーラインがゴージャス&グルーヴィーに展開される“I Don't Know”、南国情緒漂うメロウなファンク“Tiki Tiki Donga”など、どこを取ってもリオン節だ。 *林

 

 

LEON WARE Inside Is Love Fabulous(1979)

TK系列に移籍しての3作目。シャープな幕開けの“What's Your Name”に、ミニー・リパートン曲を改編した“Inside Your Love”と甘美なアップが続き、マルコス・ヴァーリロバート・ラムシカゴ)の共作した“Love Is A Simple Thing”ではブラジル音楽に邂逅。リゾート気分の“On The Island”もあって、以降のクロスオーヴァー志向の起点にもなった傑作だ。 *出嶌

 

Part.1:リオン・ウェアの無二な音世界―ソウル・ミュージックの裏街道歩むレジェンドの〈偉大なるマンネリ〉が再評価され続ける理由

Part.3:世界はリオン・ウェアに包まれている(後編)―マルコス・ヴァーリやボビー・ウーマックらリオンの仕事を振り返る

Part.4:オマーらUK勢からのラヴコール、USで求められた70sソウルの精神性―90s以降のリオン・ウェア再評価の背景

Part.5:途絶えることないリサイクル、インコグニートら後進との共演―リオン・ウェア自身に注目が集まった2000s以降

Part.6:サンダーキャットらLA人脈が参加、リオン・ウェアの新作『Sigh』での艶やかな手捌きに見る、不変の作法