カニエが総指揮した3年ぶり2作目。デビュー作では眩い80sオマージュを聴かせたが、今作も80年代と10年代を俯瞰して各種のモードとテイストを採り入れた、ファッショニスタの完璧なコーディネートのよう。とはいえモードに翻弄されてはおらず、前作でジャケを引用したリオン・ウェアを招いた淫靡ソウルな“Water Me”とプリンス風な“Need Somebody”の2曲や、デヴ・ハインズフォースMD'sらとの蕩ける共演“Figure It Out”まで、メロウネスを軸にさらりと着こなす洒落者ぶりが見事だ。『Yeezus』に入っていそうなブロディンスキー製の“Can't Stop”でカニエのラップに喰われるのはご愛嬌だが、ジェシー・ボイキンス3世との弾むエレクトロ“Tribe”で転がす軽妙なフロウはラッパーとしての本懐か。