昨今は盛り盛りの熱演が尊ばれる傾向がある落語。それはそれで感動を呼ぶのですが、あまりの熱演に疲れてしまうことも。落語の魅力とは、ふらっと立ち寄った寄席で気楽に聴くものではと思います。この馬生師匠の「品川心中」は、寄席でも聴けそうなほどよい力加減です。通し口演でも40分ほど。カットしたり飛ばしたりしたわけではなく、テンポよく進めて聴き応えも損なわない。とにかく聴きやすいので、初めての方におすすめのスタンダート品川心中です。カップリングは上方では大ネタの「天神山」の江戸版「安兵衛狐」で、さらっと江戸前の仕上がり。熟練の話芸で落語の魅力を伝えます。