冷えたビールとムーンライダーズの音楽がないなんて――と、活動休止後は彼らが恋しくて切ない日々を送っていた人も、KERAとのNo Lie-Senseや新バンドのControversial Sparkでがんばる鈴木慶一をはじめ、各人が活発に動き出した状況を見てほくそ笑んでいるはず。

ムーンライダーズ アーリーデイズ1975-1981 クラウン(2014)

 そんななか、かしぶち哲郎の命日に合わせて再集結し、限定ライヴを行った彼らだが、それに合わせてレア音源集『アーリーデイズ1975-1981』も到着。70年代半ばの未発表ライヴが満載なのも嬉しいが、さまざまな歌手とのセッション集が最高で、西郷輝彦が男前な歌声を聴かせる“モダーン・ラヴァーズ”なんていう目眩しそうな発掘音源も。さらにはメンバー関連の作品も次々と発表されているので、個別で紹介してみよう。

※ムーンライダーズの初期作品集『アーリーデイズ1975-1981』試聴はこちら

 

▼鈴木慶一関連の近作

左から、No Lie-Senseの2013年作『First Suicide Note』(ナゴムレコード)、Controversial Sparkの2014年作『Section 1』(KINKSIZE)
※ジャケットをクリックするとTOWER RECORDS ONLINEにジャンプ

 

 

VARIOUS ARTISTS a tribute to Tetsuroh Kashibuchi ~ハバロフスクを訪ねて Pヴァイン(2014)

惜しまれつつこの世を去ったかしぶち哲郎の1周忌に届いたトリビュート盤。矢野顕子が渾身の演奏を披露する“リラのホテル”をはじめ、芳醇なエキゾティシズムを放つ細野晴臣の“ハバロフスクを訪ねて”、清廉なフォーキー・ポップ・サウンドを聴かせる松尾清憲の“プラトーの日々”など、かしぶちのロマンティックな世界観を熟知した音楽家による愛情深きカヴァー曲が多く並ぶ。元BiSテンテンコが取り上げた岡田有希子“花のイマージュ”など提供曲のカヴァーもあり、ラストには未発表音源にムーンライダーズの面々が演奏をつけた“Lily”がそっと置かれている。美しい旋律に情け深いコーラスなど何もかもが胸を衝く2枚組。

※試聴はこちら

 

 

白井良明 face to guitars ヴィヴィド(2014)

アクティヴな白井良明は、アグレッシヴなギター・アルバムを完成。mito坂田学らと疾走感溢れるセッションを展開する“青山通りを今日もまた”やSchroeder-Headzらとジャジーにキメる“face to guitars”など弾きまくり&跳びまくり。アーシーなバラード“愛の仕事 musician”という泣ける歌モノも。 

 

 

岡田徹 presents ウクレニカ Phases of the moon ~UKLENICA meets MOONRIDERS~ Solid(2014)

キーボード担当の岡田徹は、ウクレレ愛好家4人で新ユニットを結成し、ムーンライダーズの名曲カヴァー集を制作。“ニットキャップマン”のようなウクレレが似合う和み系など、夢心地サウンドがエンドレス。カメラ=万年筆を迎えた“Kのトランク”の不可思議な感触にも癒される。

 

 

鈴木博文 後がない。 METROTRON(2014)

そしてベース担当の鈴木博文は、6年ぶりのソロ作を発表。焦燥や喧騒などを音に詰め込んだ表題曲を筆頭に、飄々とした佇まいながらすこぶる無骨な歌の数々。全編言い知れぬ熱が感じられるところも実に彼らしい。浮遊感と寂寥感に覆われたあがた森魚との共作曲“A氏とF氏”にとにかくときめく。

【関連動画】鈴木博文とTheScreenTonesによる2014年のライヴ映像