ECMに登場してからというもの、コパチンスカヤが元気だ。現代ものを得意とする彼女のスタイルに合致しているだけに、その演奏は冴えに冴える。今回取り上げたウストヴォリスカヤはECMが近年積極的に取り上げている作曲家で、その作風は神秘主義にも近く、唯一無二の独創性を持つだけにコパチンスカヤとの相性は最高と言っていい。特に音と響きの境界線に対するアプローチは殊の外見事で、一歩間違えれば渋さばかりが際立ってしまう、音の羅列と絶え間なく残り続ける響きの、両者の“間”を豊かな物語として紡ぎ上げてゆく。現代音楽ファンには朗報のような1枚ではないかと。

※試聴はこちら