COLUMN

JIMMY GREENE 『Beautiful Life』

勇気と希望に満ちたイノセントな音世界

Photo: Jimmy & Dena Katz

 

 1975年アメリカ北東部のコネチカット州に生まれたサックス奏者ジミー・グリーンは、その非凡なる才能を師でもあるサックス奏者、故ジャッキー・マクリーンに見いだされた。その教えに導かれ、90年代中頃には故ホレス・シルバーの晩年のグループに参加し、その後もトム・ハレルアヴィシャイ・コーエン(b)、ハリー・コニックJrルイス・ナッシュなどのもとでサイドメンとして活躍を重ねる。

 若かりし頃からモダンジャズ期の年長者に囲まれて育った恩恵を忘れることはなく、ニューヨークのジャズシーンでの浮き沈みに動じることもなかった彼は、故郷コネチカットに家族とともに居を構え、若者達への教鞭にも意欲を燃やし、教会とジャズを通じてコミュニティにしっかりと腰を据え、粛々と自身の音楽を熟成させる日々を過ごしていた。

【参考音源】ジミー・グリーンの2009年作『Mission Statement』収録曲“Ana Grace”

 

 2012年12月14日、コネチカットの小学校で起こったサンディフック銃乱射事件は彼の人生を一変させた。アメリカのジャズのコミュニティは立ち上がり、彼とその家族、そして愛娘アナのために祈りを捧げた。愛娘の名を冠された楽曲が収録された2009年のリーダー作『ミッション・ステイトメント』は、iTunesなど配信サイトでその日のうちに反響が広がり、数週間に渡ってジャズ部門の売上1位を記録した。

JIMMY GREENE Beautiful Life Mack Avenue/King International(2014)

※試聴はこちら

 ジミー・グリーンの最新作『ビューティフル・ライフ』は、彼の愛娘が生きた愛と喜びに満ちた6年8ヶ月と10日間、そして奇跡とさえ感じられるその美しい生涯を見届けた父親の感動を綴った作品集だ。

 生前の愛娘アナの唄声、パット・メセニーのギター、クリスチャン・マクブライドルイス・ナッシュのリズム隊、ケニー・バロンのピアノ、聖歌隊のコーラス、カート・エリングを初めとするフィーチャリング・シンガー達の唄声、そしてジミーのテナーとソプラノの優美なプレイが幾重にも折り重なる。

 愛娘アナが与えてくれた勇気と希望に呼応する彼らのプレイが描き出すイノセントな音世界は、はかりしれなく力強い。

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