宗教や人種が入り乱れる中東随一の多文化都市ベイルートに生まれ、現在はニューヨークで活動しているピアニスト=タレク・ヤマニのサウンドがとてもおもしろいのです! アラビアックな音階を中心に、西欧的な音使いも程良く配合されたサウンドは絶妙なバランス感を持っており、同郷のイブラヒム・マーロフにも通じる混血っぷりを如実に感じさせます。非常に高度なピアノとそれを支えるバックの演奏に裏付けされたエキゾチックな旋律は、聴く者の胸に哀愁を呼び起こしては二度と放してくれません。「非西欧圏からのジャズ・アプローチ」という近年のジャズの流れのひとつを象徴する傑作!