ブリストル経由でインディーからベース・ファンまでを魅了したイタリア人プロデューサーの初作が、評判を受けてめでたく銀盤化。チャントが舞うネイチャー・コーリングなほっこりムードや、ギターの爪弾きから溢れ出す郷愁感にドライヴをかけるトライバルな三連ビートの組み合わせ方がとても新鮮で、方向は違うもののスウィンドルの近作にも通じるヌケ感がたまらない。ヴァンパイア・ウィークエンド以降のトロピカル・ブームの余韻も引き寄せながら、バレアリックな香りとともにベース~ジュークを風通しの良い次のステージへと爽快に着地させる様が痛快。ところどころにちょい乗せしてくる80sエレクトロのフレイヴァーも効いていて、いまいちばん欲されている理想の秘境感をポップに描ききった傑作かと。