全米だけで70万枚超のセールスを記録した『Born Sinner』から1年半ぶり、J・コール乾坤一擲の3作目。告知からリリースまでに要した期間は3週間足らず、先行シングルもデラックス盤もなければゲストも一切ナシというセオリーをことごとく無視したアプローチを採りながら、結果的に2014年のヒップホップ作品最高の初動(約37万1,000枚)をマークする堂々たる成果を導き出した。自身のホームタウンの名をアルバム・タイトルに冠した自叙伝的内容、そして意表を突くネタ使い(冒頭の“January 28th”ではハイ・ファイ・セット“スカイレストラン”をサンプリング!)を交えたプロデューサーとしての成熟ぶりも含め、紛うことなきキャリア最高傑作。好敵手のケンドリック・ラマーと真の意味で肩を並べた感もある。